2016 Fiscal Year Research-status Report
小中学校理科の全学年における進化学習を支援する観察・実験教材の開発
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16K21321
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Research Institution | Hakuoh University |
Principal Investigator |
山野井 貴浩 白鴎大学, 教育学部, 准教授 (40567187)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 進化 / 教材開発 / 認識調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、小学校3年生から中学校3年生までのすべての学年の理科において「祖先の共有」と「進化のしくみ(自然選択)」の理解を支援する教材を開発することである。今年度は、小学生対象の進化に関する認識調査、ならびに小学校3年生と中学校3年生対象の教材開発を主に行った。 小学生対象の認識調査では、栃木県および岐阜県の小学3~6年生計1501名を対象に、「目的論的な進化観」を有しているかを明らかにする質問紙調査を行った。その結果、質問項目の内容によって回答が変化する傾向が見られた。キリンの首が長い理由については、自然選択を支持するものの、チーターが足が速い理由やヘビに足がない理由については、目的論的な進化観や用不用説を支持する傾向がみられた。 小学校3年生の「昆虫」単元の学習用に、カやハエは昆虫かどうかを考える授業を開発した。授業前は多くの児童がカやハエは翅が2枚しかないことから昆虫ではないと回答した。授業では、ガガンボのアルコールジェル標本を用いて、後翅の部分に平均棍があることを確認し、また甲虫やハチなど多くの昆虫において、翅の形は生息環境に応じて変化してきたことを説明した。その結果、授業後には、ハエやカも昆虫であると回答する児童が増加した。また、前脚が退化したオオムラサキについても、授業では直接扱っていないが、昆虫であると回答する児童が授業後に増加した。 中学校3年生の「遺伝」単元の学習用に、キリギリスの体色(緑色およびピンク色)の遺伝様式について考える授業開発を行った。授業前に行った質問紙調査の結果から、多くの生徒は、生存に有利な形質が優性であると判断していることが明らかとなった。授業において、ピンク色の体色は交配実験の結果、生存に不利であるが優性形質であることを紹介した。授業前後に行った質問紙調査の結果、生存に有利かどうかと優性劣性は関係ないと回答する生徒が増加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、進化に関する認識調査ならびに教材開発に取り組んだ。小学校4年生向け、小学校6年生向け、中学校2年生向けの教材開発にも取り組んだが、授業実践の結果、顕著な教育効果が見られなかった。そのため、授業展開の見直し等を行い、再度授業実践を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、小中学生を対象とした「祖先の共有」に関する認識調査を行う。また、小学校5年生向けの性選択に関する教材開発、中学校2年生向けの脊椎動物の系統関係に関する教材開発に取り組む。 並行して、昨年度の研究成果を投稿論文にまとめる。
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