2018 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanisms of memory impairment caused by the increase in phosphorylated tau
Project/Area Number |
16K21328
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
柳下 聡介 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第五部, 室長 (30585592)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | タウ / アルツハイマー病 / 睡眠時無呼吸症候群 / 神経活動 / 間欠的低酸素負荷 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに,タウのリン酸化の増減を制御する因子を同定し,それに関して解析を開始した。神経細胞において,この因子の発現を抑制するとリン酸化タウが増加することがわかった。そこで,当該年度に関しては,この効果を生体内で実証することにした。まず,野生型マウスの海馬に,この因子の発現を抑制するベクターを導入したところ,リン酸化タウが増加することがわかった。次に,ヒト型タウをノックインしたマウスに対して,同様の実験を行った。このマウスにおいても,やはり,リン酸化タウが増加することがわかった。発現抑制ベクターをインジェクションしてからの時間に依存して,リン酸化タウがどのように変化するかを解析したところ,数ヶ月が経過しても,リン酸化タウのレベルが上がった状態が維持されていることが分かった。そこで,ある程度の時間が経過してから,このマウスの脳内の界面活性剤不溶性タウについて検討を行った。界面活性剤不溶性タウは,脳内に蓄積するタウの前段階と考えられるためである。解析を行った結果,海馬では顕著な差は見られなかったものの,大脳皮質の或る部分においては,それが増加している傾向が認められた。 また,当該年度においては,ヒト型タウを導入したマウスに対する間歇的低酸素負荷実験を実施した。野生型マウスにおいては,リン酸化タウを増加させることが分かっているが,ヒト型タウを導入したマウスに対しての知見はない。実験の結果,既報通り,ヒト型タウを発現するマウスにおいても,リン酸化タウの増加が起きることが分かった。また,界面活性剤不溶性タウについて検討を行ったところ,このモデルにおいても,海馬では顕著ではないものの,大脳皮質のある部分においては,増加している傾向が認められた。さらに,間歇的低酸素負荷が神経の過活動と類似した反応を起こしている可能性があることを,以前に発表した論文で指摘したが,それに関する検証を行った。
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Research Products
(1 results)