2016 Fiscal Year Research-status Report
宗教的パラケルスス主義――初期近代ドイツ語圏の「科学」と「宗教」
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16K21332
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Research Institution | Seigakuin University |
Principal Investigator |
村瀬 天出夫 聖学院大学, 人文学部, 講師 (40768503)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | パラケルスス主義 / 科学と宗教 / 宗教史 / 科学史 / ルネサンス / 思想史 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究題目である「宗教的パラケルスス主義」について、本年度は特に三つの著作(パラケルスス『像について』、偽パラケルスス『ティンクトゥーラ・フュジコールム』、P・リンク『三時代について』)にかんする予備的研究を進め、以下の学術大会で研究報告を行った。7月:国際シンポジウム「偽パラケルスス」ヴィラ・ヴィゴーニ(イタリア、英語発表)、8月:国際会議「アジア・ゲルマニスト大会」中央大学(ソウル、独語発表)、2月(2017年):国際シンポジウム「ルネサンス期のテクスト、知識人、政治」早稲田大学(東京、独語発表)、3月~4月:国際会議「アメリカルネサンス学会」ボストン(米国、英語発表)。 これらの国際的な大会で、本研究にかんする有意義な批判と助言を受けることができた。とりわけL・プリンチペ教授(ジョンズ・ホプキンス大学)、D・カーン研究所長(パリ・ソルボンヌ大学)、C・グノー教授(米アクアイナス大学)、H・ヒライ研究員(オランダ・ナイメーヘン大学)らとの議論では、今後の研究推進にかんする重要な視点を得るとともに、次年度以降の国際的な研究プロジェクトの立案を進めることができた。同時にこのような国際的な研究交流によって、困難状況への対処でもある研究者ネットワークと支援体制を拡充することに成功した。 3月には研究代表者が執筆・寄稿した『化学史事典』(2017年、化学同人)が出版された(項目「初期近代の錬金術」)。これには本研究で収集した資料とそれらの最新の知見を反映させることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記(9.「研究実績の概要」)の予備的研究と国内外での研究報告ならびに図書出版に加えて、研究環境の充実化と基礎的文献の収集が進められた。文具・OA機器を整備するのと同時に、これまで乏しかったレファレンス書籍・外語文献を補充することができた。とりわけ一次資料についてはデジタル資料を活用することによって経費を圧縮することに成功した。 またイタリアおよびボストンでは国内では入手が難しい資料について情報を得て、今後必要な資料(特に写本類)を明確にすることができた。次年度はドイツでこれらにかんする資料収集にあたる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度から開始した上記三つの著作にかんする分析を進めていくほか、新たに三つの著作(偽パラケルスス、A.ハーズルマイルの著作群)の分析にとりかかる。そのために夏期・秋期に国内外での研究報告を計画している。それと並行して夏期にドイツ(ハイデルベルク、ヴォルフェンビュッテル)での資料調査を計画している。 アウトプットとしては以下の計画が進行中であり、これらを引き続き進めていく:パラケルスス『像について』の邦訳(『ルネサンス自然学』名古屋大学出版会、2018年夏刊行予定)、日本独文学会国際誌『Germanistik』(通巻157号)への論文投稿(2019年春刊行予定)。 これらの他、国内の宗教学および科学史関連の学会への投稿論文ならびに単著(『宗教的パラケルスス主義(仮)』)の準備を進める。
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Causes of Carryover |
本年度に購入しようと計画していた物品が購入できなかったことが主な理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初、本年度に購入しようと計画した物品を次年度に購入する。
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Research Products
(5 results)