2016 Fiscal Year Research-status Report
音響加振を用いた低周波数域における関節軟骨の力学特性計測
Project/Area Number |
16K21337
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
張 月琳 青山学院大学, 理工学部, 助教 (20635685)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 音響加振 / 粘弾性特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,再生能力の乏しい関節軟骨の変性の進行を防止するために早期診断が期待されている臨床的に応用可能で非接触・低侵襲的に関節軟骨の力学的機能を定量的に評価する手法の開発を目的としている.力学的機能を定量的に評価するために,音響加振を用いて高含水率である関節軟骨を加振し,得られる振動減衰特性に基づき,関節軟骨の弾性・粘性係数を同定する手法を提案する.提案した手法によって関節軟骨の力学的機能を定量的に評価することができれば,非接触的に機能の低下を診断することが可能となる.将来的に関節外からの音響加振とMR撮影技術を組合せることによって機能の低下部位の可視化も可能と考えられる. 本研究の目的を達成するために,1)振動計測システムの構築および妥当性の検証,2)変性度による力学的機能の変化を計測可能,の2点を示す必要がある. 今年度(平成28年度)は1)振動計測システムを構築した.軟骨を加振するために十分な音圧を得られる加振ノズルを設計し,表面に励起されたマイクロメートルオーダーの表面波を多点同時計測が可能な測定系を構築した.ブタの関節軟骨を用いて計測を行い,日常動作時に見られる低周波数域(40~100Hz)において,軟骨に伝播する表面波の位相速度が加振周波数によって変化することを示した.来年度(平成29年度)は軟骨の弾性・粘性を同定し,インデンテーション試験による計測結果と比較することによって提案手法の妥当性を検討する予定である.最終的に,2)人工的に変性させた軟骨試料の力学的機能の低下を定量的に評価することによって本提案手法の有用性を検討する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では,平成28年度に「振動計測システムの構築およびその妥当性の検証」としていたが,現在,振動計測システムの構築を完了した.低周波数域での加振を実現するために,スピーカーからの音圧を高めることのできるマイクロ加振ノズルを設計した.関節軟骨に伝播する振動波の計測には,軟骨表面に非接触で計測できるレーザー変位計を用いるため,本システムに最適な変位計を検討した.ブタの関節軟骨を用いて実験を行った結果,複数点の変位計測により加振周波数と位相速度の関係を得ることができた.しかし,計測の再現性およびシステムの妥当性の検証まで至っていないため,自己評価として「(3)やや遅れている.」とした.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,本提案手法の有用性の検討に向けて,平成28年度の研究に引き続き構築したシステムの妥当性を検証する.検証方法として,関節軟骨と同等な厚さ(1-4mm)のシリコーンゴムを用いた計測実験や軟骨のインデンテーション試験を予定している.妥当性が検証された後,酵素処理によって人工的に変性させた軟骨試料の力学的機能の低下を定量的に評価することによって本提案手法の有用性を検討する.
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Causes of Carryover |
平成28年度は計測システムの構築に時間を要したため,申請時の予定であるシステムの妥当性の検証に至っていない.そのため,妥当性の検証に使用する予定の予算を繰越すこととなった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は繰り越した予算と合わせて,妥当性の検証を行い,システムの有用性の検討するために使用する予定である.また,論文の執筆を含め,学会にも積極的に参加し,研究成果を発信するためにも使用する予定である.
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[Presentation] 音響加振を用いた関節軟骨の周波数依存性の計測2017
Author(s)
Tatsunori YOSHINO, Yuelin ZHANG, Satoru YONEYAMA
Organizer
Dynamics and Design Conference 2017
Place of Presentation
豊橋,愛知
Year and Date
2017-08-29 – 2017-09-01
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