2017 Fiscal Year Research-status Report
遺伝性・季節変動性を示す消化管の長さを規定するDNA変異及びメチル化領域の探索
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16K21352
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
勝村 啓史 岡山大学, 自然科学研究科, 特別研究員(PD) (10649544)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 遺伝的多型 / 表現型可塑性 / メダカ / DNAメチル化 / ゲノムワイド関連解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では,メダカ消化管の長さの変化が遺伝的多型と表現型可塑性の2つによって生じた可能性を検証するため,長さを規定する原因アレルが存在するゲノム領域と,その可塑性を制御するエピジェネティクな変化を示すゲノム領域を明らかにする.本年度は,原因候補アレルを同定するために,野生地域集団(40集団・計341個体)を用いたゲノムワイド関連解析(GWAS)を実施した.そして,メチル化DNA領域を特定するために,MBD-seqのデータ量を増やして,季節変動を示す領域の同定を行った. さらに,同定した遺伝子に関して,CRISPR/Cas9法によるトランスジェニックメダカを作成に取り組んだ. 【遺伝的多型の同定】昨年度立ち上げたRAD-seqの改善を実施した.その結果,334個体のメダカから,約60,000 SNPsを得た.それらSNPsをマーカとして,GWASを実施し,第1番染色体に統計学的に有意に関連するシグナルを検出した.さらに,RT-qPCR法により,そのSNPが存在する遺伝子の発現量は消化管の長さと有意に相関することを見出した. 【DNAメチル化変動領域の同定】前年度に作成したDNAメチル化領域を特異的に濃縮したライブラリをハイスループットシークエンサーに供し,季節に応じてDNAメチル化の程度が異なる領域を検出した.さらに,Reactome解析とGene Ontology解析によって一つの遺伝子に絞られ,その遺伝子の発現量をRT-qPCR法によって測定したところ,メチル化時,非メチル化時で有意に遺伝子発現量が異なることを見出した. 【ゲノム編集法による遺伝子領域改変メダカの作出】DNAメチル化の程度異なる領域を含む約300bpを欠損させたメダカを作出するために,ガイドRNAの設計を行い,そのバリデーションを実施した.作成したガイドRNAとCas9タンパクをメダカ受精卵にインジェクションし,実際に目的のDNA領域を欠失させることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り進んでいるため.
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Strategy for Future Research Activity |
同定したゲノム領域の分子進化・集団遺伝学解析とゲノム編集により作出したトランスジェニックメダカを用いた解析を進める.
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Causes of Carryover |
理由:個体あたりの分析・解析にかかる試薬及び受託解析の価格が安くなったため. 使用計画:解析に供するデータ量を増やすため,ハイスループットシークエンサーの受託解析に使用する.
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Research Products
(9 results)