2017 Fiscal Year Annual Research Report
Hydrogen gas inhalation improves survival in rats with lethal hemorrhagic shock.
Project/Area Number |
16K21357
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松岡 義 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (70649938)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 水素ガス / 出血性ショック |
Outline of Annual Research Achievements |
背景:昨年度、出血性ショック開始と同時に水素ガスを吸入させることにより、生存率ならびに循環動態が安定することをわれわれは発見し、論文報告している。実際の現場を想定すると、出血が起きたと同時に水素ガスを吸入させることは難しく、導入可能な現実案としては、医療機関に到着後であるため、その効果を検証すべく以下の実験を施行した。 実験方法:SDラットを全身麻酔下に総頸動脈から脱血し、平均動脈圧30~35mmHgを60分間維持した。その後、脱血量の4倍の生理食塩水で15分かけて蘇生させた。蘇生開始から6時間後の生存率、蘇生開始2時間後までの血行動態(0min~120min)を評価した。試験ガスは、以下の3群に分けて吸入させた。①早期水素吸入群②晩期水素吸入群③コントロール群 結果:①ショック維持の必要脱血量はショック期に水素を吸入していた早期水素吸入群の方が有意に多かった(早期水素吸入群 vs.晩期水素吸入群+コントロール群 2.8 ± 0.4 vs. 2.4± 0.1 mL/100 g; p = 0.02 )。②生存率は早期水素群が有意に高かった(80% vs 50% vs 30%,p=0.04)。③輸液蘇生後の血行動態は早期水素群が他の2群と比べて有意に改善していた(p=0.04)。 考察:蘇生開始時からの水素ガス吸入(晩期水素吸入)は,コントロール群に比べて生存率を上昇させる。しかしながら蘇生開始後の血行動態には大きな影響を与えなかった。ショック開始からの吸入(早期水素吸入)と比べると、生存率は劣ってしまう。また、ショック時に水素を吸入していると、より多くの血液の脱血することを必要とした。これは水素吸入がショック時の虚血に陥った細胞を保護し、出血に耐性を与えることを示している。実臨床においても出血性ショックの患者には虚血細胞保護のために水素ガスを吸入させた方が良いと考えられる。
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