2016 Fiscal Year Research-status Report
生体内臓器骨格を利用した新しいin situ肝再生法の確立
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16K21359
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田島 一樹 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (50770393)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脱細胞化 / in situ / ブタ / 肝臓 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の初年度到達目標では、Associating liver partition and portal vein ligation for staged hepatectomy (ALPPS)というヒトにおいて肝臓切除の際に残存する肝臓(残肝)の再生を促進させ、肝切除術後の肝機能不全を予防する新しい外科的な手術手技をブタの肝臓においても同様に実施することを提示していた。また、細胞成分を洗い流し、細胞成分以外のタンパク質(コラーゲン type Ⅰ、コラーゲン type Ⅳ、ラミニン、ファイブロネクチン等)を主体とする臓器の骨格(細胞外マトリックス(Extra cellular matrix; ECM))のみを残す「脱細胞化」という手技を応用し、ALPPSによって得られた手術手技と組み合わせることで生体内において「脱細胞化」を肝臓の一部分(ALPPSによって血流遮断を行った部位)に実施することを来年度以降の目標としている。これにより生体内の自己肝臓が脱細胞化されることで、臓器特異的な足場環境である脱細胞化臓器を自己臓器から作成し、かつ再生力の高い足場環境を体内に作成することが可能となる。 今年度達成目標であったALPPSという手術手技についてはブタにおいて既に一部その報告がされており、その文献を参考に実験を行ったところ、我々の所有する動物飼育施設、手術室、手術手技・技量、手術器具等においても同様に実施可能であることが確認することができた。安全に手術を行い、来年度以降の生体内における部分的な脱細胞化に向けて想定の範囲内で実施の可能性を示すことができた。本手術手技の確立により、今回の実験研究のみならず、ALPPSを用いた肝臓再生の研究や、より複雑な手術系モデルの確立など、本研究のみではない知見や経験を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では今年度はブタにおけるALPPSの手術手技獲得であったが、その手術手技に関しては問題なく実施することが可能であることが確認できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度会得したALPPSの手術手技を用いて、生体内における最適な部分的脱細胞化の手技を確立することを目標とし、まずは摘出肝臓にてプレリミナリーに脱細胞化を実施する予定である。
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