2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of sulfonylester-based self-immolative likers with higher degradation rates
Project/Area Number |
16K21362
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
花屋 賢悟 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 助教 (50637262)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | スルホン酸エステル / チオール / 分子内環化 / 1,4-付加 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までにアミノビニルスルホン酸エステルを母核とする刺激応答性リンカーを利用したチオール(-SH)応答性蛍光プローブを合成した。本蛍光プローブは、チオールがビニルスルホン酸エステルに1,4-付加すると、刺激応答性リンカーの末端アミノ基がスルホン酸エステル部位に分子内求核攻撃し、蛍光分子を放出する。平成30年度は本プローブの構造とチオール応答性の関係性を明らかにした。末端アミノ基は、チオールの1,4-付加を大きく加速していることを明らかにした。一方、刺激応答性リンカー上に置換基を導入すると、Thorpe-Ingold効果により分子内環化が加速されるが、立体障害でチオールの1,4-付加が遅くなった。これらの結果を基に、プロリンを基にしたビニルスルホン酸エステル型刺激応答性リンカーを設計した。本刺激応答性リンカーを蛍光分子であるクマリン誘導体のヒドロキシ基(pKa ~7.3)に結合したチオール応答性蛍光プローブを調製した。本分子はチオールと迅速に反応したが、チオール非依存的な加水分解も併発した(半減期~3 h)。加水分解に対する分子の安定性は、脱離する分子のヒドロキシ基の酸性度に依存する。今後、水溶液中での安定性と脱離基の酸性度について精査し、本刺激応答性リンカーをSN-38(pKa ~9.1)のプロドラッグへ応用する。 研究期間全体を通じて、アミノアルキルスルホン酸エステルリンカーを母核とした刺激応答性リンカーをプロドラッグに応用すべく、末端アミノ基またはアルキルリンカー上に種々の置換基を導入した刺激応答性リンカーを合成し、その反応性、安定性について検討した。さらに、現在、アミノアルキルスルホン酸エステルリンカーをもとにタンパク質中アミノ酸の選択的化学修飾反応に着手している。本研究成果は、アミノスルホン酸エステル誘導体を生物有機化学研究に応用するために重要である。
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