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2016 Fiscal Year Research-status Report

生細胞内クリックケミストリー実行時の毒性を抑制する抗酸化剤の開発

Research Project

Project/Area Number 16K21363
Research InstitutionKeio University

Principal Investigator

安田 大輔  慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 特任助教 (40736097)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2018-03-31
Keywordsクリックケミストリー / 酸化ストレス / 抗酸化剤 / 5-ヒドロキシオキシインドール / 細胞死 / プロオキシダント効果 / 銅
Outline of Annual Research Achievements

クリックケミストリーは二つの化学種を簡便に連結する手法であり、生化学や創薬へ盛んに応用されている。しかし触媒として用いられる一価銅の毒性によって生細胞系での適用には制限がある。研究代表者は、銅自身の毒性よりも、その触媒活性を保つために添加されるアスコルビン酸 (AsA) との組み合わせによって起こる活性酸素の連鎖的生成 (プロオキシダント効果) が毒性の主因であると予想した。活性酸素を抗酸化剤によって除去できればクリックケミストリーの生細胞への適用拡大が見込めるが、抗酸化剤はAsAと同様のプロオキシダント効果を示す場合が多いという問題点があった。
研究代表者は、プロオキシダント効果を示さず活性酸素消去能のみを有する新規抗酸化剤5-ヒドロキシオキシインドール (5-HOI) を見出している。この化合物を元に、無侵襲的な生細胞内クリックケミストリーを実現する手法の開発を目指した。
まずクリックケミストリー条件の毒性学的解析を行ったところ、銅単独では1 mMでも細胞生存率をさほど低下させなかったのに対し、通常用いられる濃度のAsAを併用すると、10 μMの銅でも強力な毒性を示した。次に銅+AsA依存プロオキシダント効果に対する各種抗酸化剤の抑制効果を無細胞系で評価した。5-HOIは高濃度で弱いながら有意にプロオキシダント効果を抑制した。その他、エダラボン、タイロンも抑制効果を示したが、エブゼレンは無効であった。
次いで抗酸化剤の銅+AsA毒性に対する細胞保護効果を評価した。5-HOIは高濃度で僅かに細胞保護効果を示したが、その効果は予想よりも低かった。そこで、より適切な誘導体化を目指して種々の新規5-HOI誘導体を合成し、それらの基本的な抗酸化能を無細胞系で評価した。うち一種が強力な抗酸化活性を示し、またクリックケミストリー条件に対し有効な細胞保護効果を示すことを明らかとした。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

クリックケミストリー条件に対する5-HOIの細胞死保護効果は予想よりも弱く、適切な誘導体化が必要であることが示唆された。新規誘導体については、基本となる抗酸化能を一から評価し直す必要があったため、計画よりも遅れが生じることとなった。ただし、新規誘導体は抗酸化剤としての機能が5-HOIよりも強力であり、クリックケミストリー条件に対する細胞保護効果も増強された。
当初の予定では5-HOIを細胞に添加した際の遺伝子発現変化を早期に解析する予定であったが、上述の状況でのため実際に有効な細胞保護効果を示す新規誘導体についても遺伝子発現を解析する必要があると考え、次年度に持ち越すこととなった。

Strategy for Future Research Activity

5-HOI及び新規に合成した5-HOI誘導体の遺伝子発現に対する影響をマイクロアレイ解析により網羅的に検討し、単純な活性酸素消去能に止まらない細胞への作用を評価する。また、個別の活性酸素種に対する消去能をESR等を用いて測定し、抗酸化剤としての機能解析もより詳細に行う。
無侵襲的な生細胞内クリックケミストリーについては、プロオキシダント効果の低い抗酸化剤の添加のみでは完全に達成することが困難であることが本年度の研究によって示唆された。そこで、銅の触媒作用を増強する適切な配位子の併用を視野に入れることとする。配位子の利用によりクリック反応を素早く完結させ、銅やAsAの使用量及び細胞への曝露時間を最小限に抑える手法が開発されている。しかし、一価銅やAsAを用いることには変わりなく、完全な無侵襲性の達成はなされていないと考えられる。ここに適切な抗酸化剤を併用することで、細胞に与える影響をさらに低下できると考えられる。また、既に用いられている配位子類はヘテロ環構造を有するものが多く、5-HOI自身との構造の類似性も見受けられる。このことから、配位子としての機能を持った5-HOI誘導体の創製も可能であると期待できる。配位子としての機能と抗酸化能を併せ持つ化合物は利便性に優れると考えられ、その創製を試みることには大きな意義があると考えられる。

  • Research Products

    (5 results)

All 2016

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (4 results)

  • [Journal Article] Preparation and antioxidant/pro-oxidant activities of 3-monosubstituted 5-hydroxyoxindole derivatives2016

    • Author(s)
      Daisuke Yasuda, Kyoko Takahashi, Tomoyuki Ohe, Shigeo Nakamura, Tadahiko Mashino
    • Journal Title

      Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition

      Volume: 59 Pages: 165-173

    • DOI

      http://doi.org/10.3164/jcbn.16-24

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 5-Hydroxyoxindole誘導体が示す抗炎症作用のメカニズム2016

    • Author(s)
      新野智美、小室友紀、上田史仁、多胡憲治、柳澤健、安田大輔、 高橋恭子、増野匡彦、多胡めぐみ、田村悦臣
    • Organizer
      第39回日本分子生物学会年会
    • Place of Presentation
      パシフィコ横浜 (神奈川県横浜市)
    • Year and Date
      2016-11-30 – 2016-12-02
  • [Presentation] 5-Hydroxyoxindole誘導体のLPSシグナル経路阻害による抗炎症作用2016

    • Author(s)
      新野智美、小室友紀、上田史仁、多胡憲治、柳澤健、安田大輔、 高橋恭子、増野匡彦、多胡めぐみ、田村悦臣
    • Organizer
      第89回日本生化学会大会
    • Place of Presentation
      仙台国際センター(宮城県仙台市)
    • Year and Date
      2016-09-25 – 2016-09-27
  • [Presentation] 5-Hydroxyoxindole誘導体による 抗炎症作用機序の解明2016

    • Author(s)
      新野智美、安田大輔、 高橋恭子、増野匡彦、多胡めぐみ、田村悦に
    • Organizer
      第60回日本薬学会関東支部大会
    • Place of Presentation
      東京大学本郷キャンパス (東京都文京区)
    • Year and Date
      2016-09-17 – 2016-09-17
  • [Presentation] 5-Hydroxyoxindole誘導体が示す抗炎症作用の分子機構の解析2016

    • Author(s)
      新野智美、小室友紀、上田史仁、多胡憲治、柳澤健、安田大輔、 高橋恭子、増野匡彦、多胡めぐみ、田村悦臣
    • Organizer
      第69回日本酸化ストレス学会学術集会
    • Place of Presentation
      仙台国際センター(宮城県仙台市)
    • Year and Date
      2016-08-30 – 2016-08-31

URL: 

Published: 2018-01-16  

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