2016 Fiscal Year Research-status Report
摂食抑制ペプチドのネスファチンの動脈保護薬としての可能性
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16K21370
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
森 雄作 昭和大学, 医学部, 講師 (90595919)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 動脈リモデリング / 動脈保護 / 摂食抑制ホルモン |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は先行研究でnesfatin-1トランスジェニックマウスでは、動脈傷害後のリモデリング抑制されることを発見した。この機序を解明するために、血管内皮細胞と血管平滑筋細胞を用いた細胞実験を行った。 ①血管平滑筋細胞に対するnesfatin-1の効果 動脈リモデリングの形成において、形質転換した血管平滑筋の増殖が重要な機序であることが報告されている。ヒト大動脈血管平滑筋細胞(HASMCs)を増殖因子platelet derived growth factor(PDGF)で刺激し、nesfatin-1が細胞増殖をnesfati抑制するかWST-8法を用いて調べた。しかし、nesfatin-1を0.01、0.1、1、10、100nMと濃度を振り分けて投与したが、細胞数に変化は見られなかった。 ②血管内皮細胞に対するnesfatin-1の効果 Nesfatin-1が血管平滑筋の細胞増殖を直接抑制しなかったことから、血管内皮細胞を用いた実験を行った。血管内皮細胞由来の一酸化窒素(NO)は強力に動脈リモデリングを抑制することが報告されている。ヒト臍帯静脈内皮細胞をnesfatin-1で刺激してNO産生を調べた。NO産生は蛍光Griess法で培地中の安定な代謝産物NO2とNO3を測定することで評価した。Nesfatin-1は0.01、0.1、1、10nMと投与量の増加に一致してNO産生を増加させ、10nMでは約3倍の増加であった。このことからnesfatin-1は血管内皮細胞に作用し、NO産生を増加させることで動脈リモデリングを抑制する機序が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の細胞実験から、nesfatin-1が血管内皮細胞においてNO産生を亢進させることが明らかとなった。一方で、nesfatin-1による直接の血管平滑筋細胞の増殖抑制効果は認められなかった。これら結果を足掛かりとして、平成29年度に予定している動物を用いた研究につなげることが出来る。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の細胞実験でnesfatin-1の血管内皮細胞への作用が明らかとなった。平成29年度の実験では動脈リモデリングの動物モデルを作成し、nesfatin-1を投与する。細胞実験の結果が生体内でも発揮され、nesfatin-1が動脈リモデリングを抑制することが出来るかを明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度に予定していた実験が全て終了せず、一部の実験を平成29年度にも行うため繰り越しが生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ヒト臍帯静脈内皮細胞の細胞生存性に対するnesfatin-1の効果を調べる細胞実験に使用する。
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