2017 Fiscal Year Research-status Report
摂食抑制ペプチドのネスファチンの動脈保護薬としての可能性
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16K21370
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
森 雄作 昭和大学, 医学部, 講師 (90595919)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 新生内膜 / 動脈リモデリング / 血管内皮細胞 / Nesfatin-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度はnesftin-1を動物モデルに投与する動物実験を行った。また、nesfatin-1がNO産生を促進する機序をさらに解明するためにヒト血管内皮細胞を用いた細胞実験を行った。 ①動物モデルにおけるnesfatin-1の動脈リモデリング抑制作用 生後10週齢のオスのC57BL6マウスに生理食塩液もしくはnesfatin-1 (2mg/kg/日)を浸透圧ポンプで持続皮下投与し、大腿動脈にガイドワイヤーを挿入して動脈リモデリングを誘発した。モデル作成から25日後に大腿動脈を摘出して組織学的変化を評価した。Nesfatin-1の投与によって食餌摂取量が低下し、体重増加の抑制傾向が認められた。脈拍、血圧、血糖値、脂質には差が見られなかった。Nesfatin-1の投与は、傷害動脈の新生内膜面積を有意に低下させたが(約30%抑制)、中膜面積と動脈外径を変化させなかった。この結果はnesfatin-1が中膜菲薄化や動脈瘤化など望ましくない動脈の変化を惹起することなくリモデリングを抑制したことを示している。 ②血管内皮細胞におけるnesfatin-1のAMPK活性化作用 ヒト臍帯静脈内皮細胞をnesfatin-1 (100 nmol/l)で刺激し、NO産生に関与する分子のリン酸化を評価した。Nesfatin-1はAMPKのリン酸化を増加させたが、Akt・ERK1/2のリン酸化には影響を及ぼさなかった。AMPKが血管内皮型NO産生酵素を活性化させることが報告されており、AMPKがnesfatin-1の作用を伝達する分子として作用していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の実験から、nesfatin-1が動物モデルにおいて動脈リモデリングを抑制することが明らかとなった。また、その作用には血管内皮細胞におけるAMPKが関与している可能性が示された。 平成28年度は細胞実験、平成29年度には動物実験と細胞実験を行い、nesfatin-1の動脈への作用とその機序を示す結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度と平成29年度を足掛かりとして、平成30年度には(a)動物モデルで平成29年度よりも低用量と高用量のnesfatin-1の作用を評価する実験、(b) 動物モデルで血管局所におけるAMPKリン酸化を評価する実験を行う予定である。
また、平成29年度までの研究結果を、2018年5月25日の第61回 日本糖尿病学会 年次学術集会と2018年6月24日の第78回 アメリカ糖尿病学会 年次学術集会で発表予定である。
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Causes of Carryover |
平成29年度の実験が予定よりも若干早く終了したため次年度使用額が生じた。次年度使用額は平成30年度の助成金と合わせて、計画している実験を行うために使用する。
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