2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K21406
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
一小路 武安 東洋大学, 経営学部, 准教授 (80636390)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ユーザーイノベーション / User Generated Content / 技術認識 / コンテンツ産業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、消費者の創造活動の精緻化を検証するにあたって、第一に消費者の創造活動とその収益化の関係性について整理した。2593名のサンプルへのコンテンツに関するアンケート調査から、以下のことが明らかになった。一つのコンテンツカテゴリーにおいて創造する消費者は他のカテゴリーでも創造する傾向があること、一つのカテゴリーで収益化を行う消費者は他のカテゴリーでも収益化を行う傾向があること、複数のコンテンツカテゴリーで創造する消費者は収益化を行う傾向があるということである。第二に消費者の創造と情報機器の利用状況との関係性について分析した。1000人を対象としたアンケート調査の結果から、情報機器を多様に扱っている消費者は一つの情報機器を熱心に扱う消費者と比べると、コンテンツ利用度については低い傾向がある一方でコンテンツ創造度については高い傾向があることが明らかになった。 加えて、消費者によるイノベーションの意味について考えるにあたって、消費者と企業のエンジニアとのイノベーションのとらえ方に関して何が異なるかについてアニメーション産業において、すでに行われた調査を基に分析を行っている。その結果として、企業のエンジニアは総じて技術に関する評価が低くなっていく傾向があることが明らかになった。業界で働いた経験は、技術の欠点を明確にさせ、技術評価に関してネガティブな影響を与えると考えられる。しかし、業界での就業経験の影響は、技術内容・評価方法によって異なる。経験は既存技術の将来評価に関してネガティブな影響を与える一方で、現在評価については影響を与えない。また、経験は有望な新技術の現在評価に関してネガティブな影響を与える一方で、将来評価については影響を与えないということが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画としては、第一に消費者の創造活動に関して、査読付の論文公刊を目指すことと、国際学会での発表を行うことを予定していた。前者に関しては、多少時期が早まっているものもあるものの、Ichikohji and Katsumata(2016,ABAS)といった形で実現されている。後者については、コンテンツ産業の消費者分類という形で多少内容は異なっているものの国際コンファレンス(ITS KYOTO 2017)について申し込みを行ってアクセプトされているため、概ね順調といえよう。 第二に、企業と消費者の関係性について焦点を充てた研究について、論文化を行う予定であった。この点に関しては、内容については研究上の問題があったこともあり消費者と企業における技術者のイノベーション認識の関係性という形で多少変更はあるものの、国際コンファレンス(Mitsubishi conference)で発表を行っている。したがって、今後の計画にあたって多少変更は必要であるが、概ね順調であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
消費者の創造活動については、前年度の結果に基づき、新たな研究を論文としてアクセプトを目指すと同時に、新たにアンケート調査を行う予定である。この点に関しては、計画通りに進める予定である。ただし、株式会社NHN Play Artを対象とした論文について、研究プロセスにて問題があったため内容を変更する予定である。本年度はプラットフォーム企業の戦略に関して、改めて先行研究を整理し、分析枠組みを提示することを目指す。また、前年度国際コンファレンスで発表した内容に関しては、さらに海外学会に申し込んで発表し、ブラッシュアップを目指す。
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Causes of Carryover |
昨年度は基本的に計画通りの出費を行ったが、英文論文校閲費用が見込みより低く抑えられたためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は基本的に昨年度と同様の支出を行うが、昨年度と異なり、消費者調査を行うことを予定している。したがって、設備備品費、消耗品に関して約10万円、旅費等に関して約30万円、英文論文校閲費約20万円としたうえで、その他の消費者調査費用に差額を充てることとする。
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