2016 Fiscal Year Research-status Report
チタン顆粒オステオライシスによるインプラント周囲骨吸収メカニズムの解析
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16K21408
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
蓮池 聡 日本大学, 歯学部, 助教 (60636413)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 歯科インプラント / インプラント周囲炎 / 骨吸収 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はインプラント周囲骨吸収ならびにこれに経発しうるインプラント周囲炎の原因因子の解明を目的として行われた。ラット動物モデルを用いて、チタン顆粒をインプラント-アバットメント界面周囲に散布し、磨耗が生じたのと同様な状況を想定し、インプラント周囲組織のチタン顆粒に対する反応を形態学的および組織学的に検証することが本研究の目的であり、平成28年度はラット動物実験モデルを確立した。 Fischerラットの上顎両側第一臼歯をヘモスタットモスキートを用いて抜去し, 4週の抜歯窩治癒を待った後, ラット実験用インプラントを埋入した。実験側ではインプラント周囲にチタン顆粒(TILOP45μm) を散布し, 縫合した。 インプラント埋入日を 0 日とし, 1 週おきに動物用マイクロ CT (R_mCT , 理学メカトロニクス,東京) にて経時的に観察した。8週後に炭酸ガスによる安楽死を施行し,通法通りにパラフィン包埋切片とレジン包埋切片を作製し, 組織学的な観察を行い, 動物用マイクロCT 画像との比較検討を行った。また骨体積計測ソフトを用いた定量的評価も合わせて行った。 結果としては代表個体ではチタン顆粒の影響を受け、インプラント周囲骨吸収を起こす像が確認された。しかしながら、個体差が大きく、定量的には有意な差は得られなかった。Fischerラットは歯槽堤が狭窄しており、確実なインプラント埋入が難しいことがこのようなバラつきをうむ大きな要因のひとつと考察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラット上顎骨において臼歯を抜歯した後、動物実験用インプラントを埋入し、オッセオインテグレーションを獲得することができた。チタン顆粒を散布した後、マイクロCTを用いて経時的評価を行ったところ、代表個体ではチタン顆粒の影響を受け、インプラント周囲骨吸収を起こす像が確認された。 しかしながら、個体差が大きく、マイクロCTおよび組織像を用いた定量的には有意な差は得られなかった。このような点から「やや遅れている」と判断される。 Fischerラットは歯槽堤が狭窄しており、確実なインプラント埋入が難しいことがこのようなバラつきをうむ大きな要因のひとつと考察された。ゆえに比較的個体サイズの大きいラットを使用して、検証を行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
比較的個体サイズの大きいSDラットを用いて、再度ラット動物実験モデルを確立する。このモデルを用いて再度マイクロCTならびに組織切片による検証を行い、得られた組織標本は、HE 染色および酒石酸耐性酸ホスファターゼ (TRAP) 染色を行い、多核巨細胞ならびに破骨細胞を同定する。また、破骨細胞分化因子(RANKL) および炎症性サイトカイン(IL-6)の発現を調べるために免疫染色を行い、観察する。 また、in vitro の実験ではチタン顆粒のサイズによって細胞の応答性が異なることが知られているため、様々なサイズのチタン顆粒を用いて再検証を行う予定である。 さらに、Porphyromonas gingivalis 由来LPS をチタン顆粒に付着させ、これをインプラント-アバットメント界面周囲に散布し、同様な検証を行う。これにより、オステオライシスと細菌感染が同時に作用することで、インプラント周囲骨吸収が憎悪する可能性を検証する。
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Causes of Carryover |
平成28年度はラット動物モデルの確立を行った。平成28年度は生物学的背景を探るため酒石酸耐性酸ホスファターゼ (TRAP) 染色、破骨細胞分化因子(RANKL) および炎症性サイトカイン(IL-6)の発現を調べるために免疫染色を行う計画であったが行うことができなかった。 また、海外学会における情報収集を行う予定であったが実施しなかったため、予定していた使用額に達しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
動物実験モデルの確立および生物学的背景の検証を行うため、実験動物代として100,000円、実験材料および薬品代として314,999円を用いる。組織切片の作成業務委託費として300,000円を用いる。海外における成果発表・研究打ち合わせに450,000円、国内における成果発表に150,000円を用いる。これらの際の学会参加費として100,000円用いる。
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Research Products
(3 results)