2017 Fiscal Year Research-status Report
スマートデバイスを利用した加速度運動実験支援システムの開発と応用に関する研究
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16K21409
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
星野 貴弘 日本大学, 理工学部, 助教 (40580189)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 物理教育 / e-learning / スマートデバイス / スマートフォン / 加速度運動実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実績の概要について(1)ソフトウェアの開発,(2)評価実験に分けて述べる。(1)については,今年度はユーザーの操作性を向上させるための機能を主に追加した。具体的には,計測した物理量・エネルギーの数値データ及びグラフデータの自動保存機能や角度の校正機能である。データの自動保存機能は,生徒が実験結果を確認する以外に教員やティーチングアシスタントが実験後に実験手順や実験条件に誤りがないか確認することに役立てられる。角度の校正機能を実装することによりスマートフォンに内蔵された加速度センサのオフセット誤差を取り除くことが可能になったため,より正確な計測が可能になった。また,平成28年度までのソフトウェアでは途中で斜面角度が変わるような加速度運動の加速度を正確に計ることができなかったが,このような運動に対応した計測機能の開発を平成29年度から現在まで引き続き行っている。(2)については,平成29年12月5日に茨城工業高等専門学校機械システム工学科3年生40名を対象に上記(1)の機能及び平成28年度に開発した各エネルギーの表示機能の評価実験を行った。この評価実験の結果,高等学校の物理で扱うエネルギーに関する基本的な実験への利用可能性を確認した。また,平成30年3月12日に日本大学第一高等学校2年生22名を対象に力学的エネルギー保存に関する応用実験を実施した。この評価実験ではこれまでに開発してきたソフトウェアの機能を使った課題解決型実験であり,実験課題は,エネルギーの測定結果から水平面に置かれたおもりを班ごとに割り当てられた目標位置に最も近づけるための台車の重さと斜面角度を班ごとに考えることである。この評価実験の結果,開発したソフトウェアにより大部分の高校生に対しては物理への興味促進に効果が見られたが,その一方で物理が苦手な理系高校生に対しては,あまり効果が見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べた(1)のソフトウェアの開発については,上で述べた通り研究計画で予定していた機能をおおむね実装することができたが,途中で斜面角度が変わるような加速度運動に対応した測定機能については,現在も引き続き開発を行っている。この機能の開発に当初の予定より時間がかかっている理由としては,斜面角度が変化する際,スマートフォン及び力学台車に瞬間的に大きな力が加わるため,正確な測定が難しくなるためである。今後,フィルタ機能や運動方向以外の軸の加速度センサ値の利用などによって,より正確な測定ができるように工夫が必要である。(2)の評価実験については,(1)で遅れが生じている複数斜面での加速度運動実験への評価実験が現在未実施であるため,引き続き機能開発を進め,今年度中には実施できるよう調整中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の(1)ソフトウェア開発の未実装の機能については,フィルタ機能や運動方向以外の軸の加速度センサ値の利用以外には,運動力学の解析を主たる研究分野としている茨城大学工学部の坪井一洋教授からの助言を受ける予定である。ソフトウェア開発の観点からは(株)ユニキャストから支援を受ける予定である。平成29年度に実施した評価実験からソフトウェアの有効性も明らかになったが,物理が苦手な学生に対してはソフトウェアの機能の点及びソフトウェアを利用した実験授業の方法の点において課題が多く明らかになった。前者については,操作性向上のための機能改善を(株)ユニキャストの指導の下,引き続き実施していく予定である。後者については,本学付属高等学校である日本大学第一高等学校及び千葉日本大学第一高等学校の物理担当教員からも助言を受けながら改善を進めていく予定である。また,平成30年9月から12月を目途に千葉日本大学第一高等学校でソフトウェアの評価実験を実施予定である。この評価実験において複数斜面の測定機能や平成29年度に指摘を受けた点を改善した実験授業の評価を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
物品費として当初の計画では動作確認用としてスマートデバイスの購入を予定していたが,Andoroid OSの大幅なアップデートが平成28年度から平成29年度にかけては行われなかったため,平成29年度の購入は控えたため,金額に差異が生じた。平成30年度は,Android OSの更新情報に従い,開発したソフトウェアの動作確認用,また新たに搭載されたハードウェア・ソフトウェアセンサの動作確認用として適宜使用予定である。
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Research Products
(3 results)