2017 Fiscal Year Research-status Report
ホームシェアの国際比較による世代間協同居住の理論化
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16K21412
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
久保田 裕之 日本大学, 文理学部, 教授 (40585808)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ホームシェア / 高齢者の孤立 / 若者の貧困 / 居住福祉 / 高齢者の見守り / 世代間交流 / 空き家活用 |
Outline of Annual Research Achievements |
二年目となる平成29年度は、ヨーロッパでの調査【課題1】、アメリカでの調査【課題2】および、国内外の学会への参加と研究発表を通じた世代間協同居住の理論化を行った。 第一に、5月にマドリード(スペイン)で行われたホームシェアに関する国際会議の機会を利用して、前年度から繰り延べていたEUのホームシェア事業者に対するフォローアップ調査を行った。具体的には、マドリード(スペイン)で開催された第6回世界ホームシェア会議に、日本のホームシェアNPOの代表と共に参加し、意見交換と情報収集を行うことで、日本のホームシェア事業が直面している課題の特殊性について検討した。 第二に、アメリカ東海岸の事業者であるホームシェア・バーモントの調査【課題2】を行った(1月)。具体的には、ヴァーモント州バーリントンで長く活動を続けるホームシェア事業者「ホームシェア・バーモント」を訪問し、NPOのファシリテーターが集まる会議を傍聴すると共に、多様なマッチングを成功させるためのノウハウと組織構造について検討した。 第三に、国内・国際学会での情報収集と研究発表を通じて、世代間共同居住の理論化に向けて大きく研究を前進させた。具体的には、青少年研究会を利用した都市と地方の若者の帰属意識と行動に関する情報収集(5月)、高齢者に関する領域横断的な学会である老年社会科学会でのホームシェアと世代間居住に関する研究報告(6月)、ホームシェア先進地域であるEUの中でもアテネ(ギリシャ)で開催されたヨーロッパ社会学会大会の関連部会での議論と情報収集(8月)などを通じて、高齢者と若者という異なる世代が持つ異なるニーズを、共同生活の中でどのように組み合わせ、紛争を調停するかについての方策を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度から繰り延べたEUでのフォローアップ調査をホームシェア世界会議のタイミングで効率的に終えたことに加え、アメリカ東海岸・西海岸での調査も無事に終了したほか、予算を前倒しして行って国際学会への参加や国内学会での報告を行うことができたことからも、研究は当初の計画以上に進展しているといえる。さらにまた、当初はオランダの事例のみを調査する予定だった施設型のホームシェアについてもスペインに同様の事例が存在していることが分かり事例研究に幅がでるなど、内容面においても拡充している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、これまでの調査研究をもとに国内外での学会大会への参加と研究報告を重ねることで、理論研究を進展させ、最終的な研究論文の執筆に着手することが主要な課題となる。具体的には、第一に、シンガポールで開催される世界社会学会(ISA)の家族関係部会大会(5月)、および、札幌で開催される社会政策学会で研究報告を行うことで、非典型的な家族世帯に対する法的保護と支援についての議論を深める予定である。第二に、広島で開催されるコミュニティ政策学会(7月)、およびトロント(カナダ)で開催される世界社会学会大会に参加し、主に地域・住宅・福祉に関する部会に参加して情報収集を行う予定である。第三に、当初の予定にはなかった第二回日本ホームシェア会議を主催し全国からホームシェア事業者を集めて現在の課題と取り組みを共有すること(10月)、および、ブリュッセルで開催されることになった第7回世界ホームシェア会議(3月)に参加し、これまでの研究報告に関する意見と助言を求めることで世代間協同居住の理論化をすすめる予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、ヨーロッパ社会学会およびアメリカ調査のために前倒し請求した予算に対して、当初の予想より飛行機代、宿泊代が安く、短い日程の中で効率的な調査を行えたことが主な要因である。 次年度使用額については、ここ2年間の日本でのホームシェア事業の広がりを重視して、当初の予定にはなかった第二回日本ホームシェア会議を主催するための費用に充てることで、第一回の会議からどのように事業が伸展したのかを含めてより詳細な研究が可能になる予定である。
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Research Products
(1 results)