2016 Fiscal Year Research-status Report
microRNAを用いた急性肝機能障害特異的診断マーカーの検討
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16K21413
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
石川 真士 日本医科大学, 医学部, 講師 (30714745)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | microRNA / 急性肝機能障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
麻酔科・集中治療領域では手術侵襲、出血性ショック、敗血症性ショック、心不全など炎症、虚血を契機とした急性肝機能障害を多くの症例で認める。現在、その血中マーカーとしてアラニンアミノトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノ基転移酵素、乳酸脱水素酵素などが用いられているが、肝臓に特異的なものではない。急性肝機能障害では心筋など他臓器障害を併発することも多く、既存のマーカーでは早期かつ特異的な肝細胞障害の診断は困難である。 過去、我々のグループでは各臓器における麻酔薬、臓器障害における遺伝子発現変化を検討してきた。Sakamotoらは麻酔薬投与によって臓器特異的なmRNA発現変化を報告した(Gene. 2005)。これを基に申請者は麻酔薬によってmicroRNA発現変化が臓器特異的であることを明らかにした(Anesthesiology. 2012)(Biomed Res. 2012)(Mol Med Rep. 2014)。さらに、肝臓虚血再灌流モデルを用いた研究でも、肝臓において特異的なmicroRNA発現変化があることを明らかにした(PLoS One. 2015 May 14;10(5):e0125866.)。 近年、心筋において臓器microRNA発現変化が血中マーカーとなる可能性が報告されている。過去の研究を基に、本研究ではmicroRNAの臓器特異性に着目し、これによる急性肝機能障害の特異的血中マーカーを明らかにすることを目的とする。 初年度ではラット肝臓虚血再灌流障害モデルを用いて、その血漿サンプルより網羅的にmicroRNAを測定し特異的マーカーの候補を選定することである。現在、モデルを作成し、microRNAの網羅的解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度ではラット肝臓虚血再灌流障害モデルを用いて、その血漿サンプルより網羅的にmicroRNAを測定し特異的マーカーの候補を選定することであった。現在、モデルを作成し、microRNAの網羅的解析中である。 急性肝機能障害は肝臓虚血領域、虚血時間によって重症度が異なる。肝障害重症度の違いによってmicroRNAの発現が大きく異なるため、誤差の原因となる。精度の高い結果にはモデルの安定化が必要なため、時間を要してしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の今後の目標は、急性肝機能障害の特異的マーカーであるmicroRNAを同定することである。現在、網羅的解析を進めているため、この結果より候補となるmicroRNAを選定する。それらを既存マーカーであるアラニンアミノトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノ基転移酵素、乳酸脱水素酵素や病理学的所見と比較し、より重症度と相関性の高いmicroRNAを明らかにする。 さらに、経時変化を検討し、より早期に上昇を認める診断に有用なmicroRNAを明らかにする。
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Causes of Carryover |
精度の高いモデル作成に時間を要したため、microRNA網羅解析が遅れてしまった。研究遅延のため、研究費に残額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後、網羅的解析を進め候補となるmicroRNAを選定する。それらを既存マーカーであるアラニンアミノトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノ基転移酵素、乳酸脱水素酵素や病理学的所見と比較し、より重症度と相関性の高いmicroRNAを明らかにする。 さらに、経時変化を検討し、より早期に上昇を認める診断に有用なmicroRNAを明らかにする。 当該助成金は上記研究に用いる。
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