2017 Fiscal Year Research-status Report
嗅覚の後天的発達可能性の精査及び香料機能性の最適化への応用
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16K21418
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
神保 太樹 星薬科大学, 先端生命科学研究所, 寄附講座等客員助教 (60601317)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アロマセラピー / トリートメント / ストレス / 精油 / NIRS / 嗅覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度、研究の予備検討および院内での試験の為の試験を行った。また、計測システムの更新を行った。システムの更新としては、昨年までのシステムでは計測時にすべての計測値が表示されなかった為、内臓モニターを変更した。システムはNIRSシステムSpectratech社製OEG-16機器をベースとして、アイリスオーヤマ社製AM-15アルミアタッシュケースに制御用PCおよびキーボード等のコンソールを設置したものを続けて用いているが、画面についてはケースの内寸に会わせて15inchに変更した。(制御PC等に変更はない。) 実際の研究としては、ストレスバックグラウンドと精油による神経反応性の関係を明らかにする為の、心理尺度と精油の間の関係性の測定実験について、心理尺度の項目を増やして予備検討を行った。予備検討においては、やはり心理学的尺度が病的でない場合には解析上の相関は見られなかった。 さらに従来言われる、所謂アロマセラピーの効果が、匂いそのものではなくマッサージを主体とする可能性を考慮して、匂いを嗅いだ時と、匂いを嗅いでいない状態でのマッサージ(トリートメント)時のNIRSを計測した。この結果として、匂いを嗅いだ場合にはNIRS上のパターンは異なり、匂いによる効果の変化は存在することを確認した。 これらより、ある程度ストレスフルである可能性が高いと考えられた、クリニック等の外来患者様を対象として臨床試験を行うことにした。協力医療機関である医療法人社団湘南太陽会のクリニックにおいてNIRSと心理尺度の実施を行うことにしており、現在リクルートを実施中である。上記に加えて、匂いが薄い場合にも同様に脳機能上の変化が観察されるかを検討する為に、芳香蒸留水と呼ばれる精油よりも薄い匂いを用いて、NIRS上の変化を予備的に計測する実験を平行して行う予定であり、これも現在リクルートを実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の進捗状況は遅れていると考えられる。 主としては、主たる研究の場の変更を行ったことと、それに伴いヒトを対象とした研究が臨床研究に近似するものとなったことがあげられる。 また、研究内容において、精油を用いた匂いの暴露によって、例えば単純計算能力が向上したり、神経心理学的な尺度上における改善が見られるなどは観察されたものの、これらの結果からはNIRS上の分析結果において相関する治験は得られなかった。念のため行ったマッサージを含むアロマセラピーの手技の検討でも、心地よさなどについては観察され、匂いによるパターンの変化こそ観察されたが、変化の内容については必ずしも一致した所見ではなかったことからバックグラウンドの影響は大きいと考えられた。 これを踏まえて臨床研究的に対象者をリクルートし、検討を行おうと考えたが、その手続きおよび審査において円滑に実施することができなかった為、本研究は全体的に遅れていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究では、小規模なデータをいくらか得たにとどまっており、既に挙げたいくつかの理由によって研究の状況が遅れていることは否めない。 しかし本年度行った機器の更新や、各種の実験によってより効率的に実験の実施を行えるようになったと考えられる。 特にポータブルの状態で計測データをすべて閲覧できるようにしたことで、実験の失敗が減るものと考えている。また解析設備についても更新を行ったため、動画としてのNIRS像の出力時間も減少し、解析等のための時間は減少すると考えている。 以上、実験条件の見直しに用いることができるデータの取得もいくらかは行えており、今後ここまでの各実験のデータを用いてより詳細な検討を行いたい。既にリクルートを開始しており、来年度についてはまとまった量のデータを得ることができる見通しがあるので、今後とも努力したいと考えている。
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Causes of Carryover |
移動先の研究設備との兼ね合いにより、設置できるシステムが限られたため、利用用途の一部変更を計画したため、大型の購入物が生じず、使用は解析システムの一部更新にとどまった。 来年度以降においては、臨床的研究を実施する関係からNIRSの予備システムの導入をおこなう為の予算として計画している。
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Research Products
(5 results)