2016 Fiscal Year Research-status Report
地域における津波避難基礎力の評価と改善に関する研究
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16K21434
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
三上 貴仁 早稲田大学, 理工学術院, 講師(任期付) (80732198)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 津波 / 避難 / 自然災害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、津波発生時の避難、特にそれぞれの地域における、避難行動を始めるきっかけと避難行動に影響を与える因子に着目し、国内外の具体的な災害事例に基づいて分析を進めている。2016年度の主な研究成果を以下に示す。 まず、避難行動を始めるきっかけについて、近年海外で生じた四つの津波災害(2007年ソロモン諸島津波、2009年サモア諸島津波、2010年チリ津波、2010年インドネシア・メンタワイ諸島津波)に関する現地調査報告に基づいて分析を行った。分析と整理の結果、避難のきっかけは、地震による揺れ、他の人の行動や呼びかけ、普段とは異なる海の挙動、大きな音、津波による浸水の五つに分類できることがわかった。それぞれのきっかけが機能しない場合についても考察を行った。 加えて、2016年11月に福島県沖でマグニチュード7.4の地震が発生し、青森県太平洋沿岸から伊豆諸島までの八つの津波予報区に津波警報や津波注意報が発表されたことにともない、この地震における津波避難について、その実態と課題を把握するために、宮城県塩釜市で住民への聞き取り調査を行った。調査の結果、津波注意報から津波警報へと切り替わったタイミングで住民の行動が変化していたこと、集落や職場などの小さな単位におけるローカルな情報の共有が津波避難のきっかけのひとつとなっていたことがわかった。今回のような津波を含めて、大小さまざまなレベルの津波に対する避難のあり方をそれぞれ考えていく必要があることがわかった。 上記の研究成果については、国際学会や学術論文を通して発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね当初の予定どおり研究を進め、研究成果の発表へとつなげることができた。避難のきっかけに関する分析については、国際学会(9th International Conference on Coastal and Port Engineering in Developing Countries、COPEDEC)において発表と討議を行った。2016年11月の福島県沖地震における津波避難の聞き取り調査については、学術誌(自然災害科学)に論文を速報として投稿し掲載が決まった。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度より所属研究機関を変更することにともない、当初予定していた水理実験ではなく、災害事例の調査や数値シミュレーション・避難行動シミュレーションの活用を中心として、研究を進めていく予定である。特に、それぞれの地域における海岸構造物や沿岸環境が津波に与える影響と、その影響を踏まえた避難のあり方について分析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
所属研究機関の変更にともない、当初、次年度に実施することを想定していた水理実験に必要な機器の購入と計測技術の習得をとりやめ、計算環境の整備に充てることとしたため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額を含めて、主に計算環境の整備、消耗品の購入、学会への参加、論文投稿に伴う経費等に用いる予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] Evacuation Simulation for a Vulnerable Coastal Community in Jakarta2016
Author(s)
Mikami, T., Takagi, H., Esteban, M., Fujii, D. & Kurobe, S.
Organizer
12th International Conference on Coasts, Ports & Marine Structures (ICOPMAS)
Place of Presentation
Tehran, Iran
Year and Date
2016-11-01
Int'l Joint Research
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