2017 Fiscal Year Research-status Report
痙直型脳性麻痺患者における運動療法が末梢神経機能と歩行機能に与える影響
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16K21440
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
楠本 泰士 東京工科大学, 医療保健学部, 講師 (60710465)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脳性麻痺 / 末梢神経 / 神経電動速度 / 下肢随意性 / 筋力 / 脛骨神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳性麻痺の末梢神経伝導速度は非麻痺側と比べて麻痺側下肢が遅いと報告されており、各肢節の使用頻度の差による末梢神経の退行変性が原因と考えられている。使用頻度によって末梢神経の退行変性が起こるならば、下肢随意性や筋力の違いによって神経伝導速度に差が出る可能性がある。そこで、痙直型脳性麻痺における末梢神経伝導速度と下肢随意性、関節トルクの関係を調査した。対象は粗大運動能力分類システムレベルI、IIの痙直型脳性麻痺患者15名(13歳~26歳、レベルI:10名、II:5名、片麻痺7名、両麻痺5名、四肢麻痺3名)とした。本研究は横断的研究として行い、脛骨神経の神経伝導速度、下肢随意性(SCALE)、膝関節伸展トルクを測定した。利き足、非利き足の各値を対応のないt検定にて検討し、各項目の相関関係を確認した。その結果、利き足と比べ非利き足のSCALEが低く、神経伝導速度と下肢随意性、筋力の間に相関関係はなかった。下肢随意性と筋力の間には相関があると言われているが、今回は利き足、非利き足共に相関がみられなかった。先行研究と比べて今回の対象は運動レベルが高く、各値のばらつきが少なかったためと考えられる。運動レベルの高い者では、利き足非利き足で下肢随意性に差はあるが神経伝導速度や筋力に差がなかったことから、退行変性の影響が少ない可能性が考えられる。今回の研究で、運動レベルの高い脳性麻痺患者では、利き足非利き足の神経伝導速度に差がなく、下肢随意性や筋力と関連がないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者の業務の多忙と研究実施予定施設の業務内容の変更により、本研究対象者の募集が遅くなり、研究の遂行が全体的に遅れた。また、「数週間の運動介入が神経伝導速度やH反射に及ぼす影響」を調査予定だったが、対象者の募集に難渋したことから「ストレッチがH反射に及ぼす即時効果」に変更し、研究を実施した。しかし、全体的に研究の予定人数の測定が終わっていないため、本研究の事業期間延長し、研究を継続して行う。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はストレッチによる即時効果が脊髄の興奮性を表すH反射にどのような影響を及ぼしているのかを脳性麻痺の方、健常者を対象に引き続き調査する。
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Causes of Carryover |
研究全体の遅れに伴い、研究成果の報告も遅れたため、当初予定していた学会発表を見送った。そのため旅費等に未使用額が発生した。研究成果の報告を第55回日本リハビリテーション医学会学術集会にて行うため、旅費が必要となった。また、研究の継続に伴う対象者への謝礼や論文投稿費として使用予定である。
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Research Products
(1 results)