2018 Fiscal Year Annual Research Report
The effect of exercise therapy for peripheral nerve and locomotor function in patients with spastic cerebral palsy
Project/Area Number |
16K21440
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
楠本 泰士 東京工科大学, 医療保健学部, 講師 (60710465)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 痙直型 / 脳性麻痺 / H反射 / ストレッチ / 脊髄前角細胞 / 下肢随意性 / 関節トルク / 神経伝導速度 |
Outline of Annual Research Achievements |
下肢の使用頻度によって末梢神経の退行変性が起こるならば、下肢随意性や筋力の違いによって神経伝導速度に差が出る可能性があるため、痙直型脳性麻痺における末梢神経伝導速度と下肢随意性、関節トルクの関係を粗大運動能力分類システムレベルI、IIの痙直型脳性麻痺患者15名を対象に調査した。その結果、運動レベルの高い脳性麻痺患者では、利き足非利き足の神経伝導速度に差がなく、下肢随意性や筋力と関連がないことが示唆された。 平成30年度は、痙直型脳性麻痺患者におけるH反射の特徴を調査するためにレベルⅠ~Ⅲの脳性麻痺患者12名と健常者14名で比較を行った。H波の測定は安静腹臥位で利き足とし、誘発電位検査装置の刺激電極を膝窩部に設置し、最大のH波を確認できるところまで電流量を上げ、3回のデータを記録し、H波の振幅値を読み取った。次に足関節を等尺性に背屈し、同様に最大のH波を導出した。その結果、脳性麻痺患者では健常者と比べ背屈時のH波の振幅値変化率が大きかったことから、脳性麻痺患者の足関節では相反抑制による筋の興奮性が低下しにくかったと考えられる。 痙直型脳性麻痺両麻痺児の立位姿勢における脊髄興奮性の変化の調査後に、最終的に、運動療法の一つである持続的ストレッチが脊髄前角細胞の興奮性に及ぼす影響を調査するために脳性麻痺患者4名、健常者4名を対象に、傾斜板を用いて持続的ストレッチを行った。ストレッチは足関節に痛みの出ない範囲で伸長感の得られる状態にて3分間立位を実施した。健常者とレベルⅠの脳性麻痺患者ではストレッチ後のH波の振幅低下を確認できたが、レベルⅢの患者ではストレッチ後にH波の振幅が上昇した。ストレッチ後の関節可動域増大には筋や腱の粘弾性の変化である生理学的要因と脊髄前角細胞の興奮性を含めた神経学的要因が関与する。痙直型脳性麻痺患者は健常者と比べてH反射の調節能力が低下することが示唆された。
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Research Products
(3 results)