2016 Fiscal Year Research-status Report
コンテンツ産業のフリー型ビジネスモデルにおける消費者行動の実証的研究
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16K21447
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Research Institution | International University of Japan |
Principal Investigator |
山口 真一 国際大学, GLOCOM, 講師(移行) (60769529)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | コンテンツ産業 / ゲーム産業 / フリーミアム / 新ビジネスの代替効果 / 長期売上高最大化戦略 / フリー型ビジネスモデル / ネットワーク効果 / パネルデータ分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、コンテンツ産業における無料型ビジネスモデル(フリー型ビジネスモデル)について、最適なビジネス戦略や既存ビジネスに与えるインパクトについて、定量分析によって明らかにすることである。平成28年度は、シンクタンクから提供されたゲーム産業における月次消費者動向調査データを用いて、フリー型ビジネスモデルにおける消費者行動モデルをパネルデータ分析することで、長期売上高最大化戦略と既存ビジネスに与える影響について定量的な結果を得た。結果の概要としては、ゲーム産業において、長期に売上高を最大化するためには1人当たり支払額を高くしすぎてはいけないこと、新ビジネスは既存ビジネスに代替効果を持っているもののその効果は小さく限定的であること、等が示された。 本統計分析の結果は、情報通信学会、日本デジタルゲーム学会にて発表したうえでフルペーパー化して投稿を行い、長期利潤最大化戦略については査読付き論文が情報通信学会誌に掲載されるなど、継続的に公表を行った。さらに、関連研究として、フリー型ビジネスモデルにおけるネットワーク効果の研究成果(有料ユーザはネットワーク効果を持っている一方で無料ユーザにはないことをパネルデータ分析によって示した)が情報通信学会誌に掲載されたほか、口コミが消費額に与える影響に関するディスカッションペーパー(書籍やゲームについて、口コミが消費額を押し上げていることを定量的に示した)も公開された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、ゲーム産業において長期利潤最大化戦略と既存ビジネスに対する代替効果について定量分析を行い、学会発表を行うことを目標としていた。これらの目標は達成されただけでなく、双方ともフルペーパーを投稿し、前者については査読付き論文誌に掲載された。さらに、関連研究もいくつか公表されたほか、平成29年度に執り行う予定であった映像・ゲーム・書籍・音楽すべてに対象を広げてフリー財-製品-リアル財間の相互関係を定量的に検証する研究にも入ることが出来、アンケート調査データの収集並びにモデルの構築を行った。さらに、定量分析も行い、研究成果の国際会議への投稿を行った。以上の理由から、「当初の計画以上に進展している」といえる。その一方で、平成28年度に行う予定であったビジネスモデルの類型化は、おおむね研究は進展したものの、未だ公表に至っていないため、平成29年度に公表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り、コンテンツ産業の分野横断的なフリー財-製品-リアル財間の相互関係分析を進め、研究成果を学会や論文誌で継続的に公表していく。また、学術的な公表だけでなく、産学を対象としたシンポジウムを開催することで、研究成果を広く公表する。
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Causes of Carryover |
国際会議等学術的発表の参加費・交通費、シンポジウム開催費、研究補助員の雇用費用、英文校正費等は継続的に必要な費用であり、次年度に向けて計画的に残している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際会議等学術的発表の参加費と交通費、シンポジウム開催費、研究補助員の雇用費用、研究図書費、英文校正費等として、計画通り使用していく。
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Research Products
(8 results)