2017 Fiscal Year Research-status Report
新規概念(線量分布法)を利用した被ばく線量評価法の確立とそのソフトウェアの開発
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16K21455
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
小林 正尚 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 講師 (80720979)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | CT / k-factor / 実効線量 |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの医学系研究において,X線CT検査の被ばく線量評価には利便性が高い換算係数法(従来法)が利用されている.算出された線量値は,原子放射線の影響に関する国連科学委員会が発表する国連報告書にも多く引用されているほど,方法・結果ともに国際的に普及している.その換算係数とは,国際放射線防護委員会が勧告102において報告したCTの線量指標dose length productから実効線量を換算するための係数である.これまでに申請者は,従来法で算出した実効線量が適正に算出されていないこと,評価対象となる人体ファントム間で臓器吸収線量・実効線量に差が生じることを示してきた. 被ばく線量の評価対象の定義は,従来法にも利用されている1960年代に開発された簡易的な数学ファントム(medical internal radiation dose) であったが,近年,CTやMRI画像から得られた詳細な人体構造データをもとに構築された国際的な標準人ボクセルファントム(国際放射線防護委員会;勧告110)へ変更された.従って,今後は,標準人ボクセルファントムを評価対象にした線量評価が求められる.また,k-factorは,頭部,頸部,頭頸部,胸部,腹部,躯幹部の6領域に対してのみ与えられているため,本来,厳密に線量管理をするべきである限局した領域を重点的に撮影する特殊検査への利用が推奨されていない. そこで申請者は,国際的な標準人ボクセルファントムに対してのみならず,性別,年齢,体型,を評価対象にした新たな換算係数法を確立するための研究を行い,6領域以外の任意の検査領域に対しても換算係数を評価可能なソフトウェアを構築することを目指す.本研究は,線量推定ツールとして活用することで被検者の被ばく線量を適正かつ簡便に評価できるため放射線医学研究に貢献し,被検者に安心を与えるためにも重要な研究である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年には,線量分布法の正当性をMIRDファントムにて検証すること,線量分布法(対象;MIRD)の結果よりソフトウェア(Ver.0)を構築すること,その動作確認と推定精度の検証・提供を行った.平成29年にはファントム間(即ち,個人の性別・体型等)の違いによる線量分布法の影響をRef.P,BREPファントムで検証することを行った.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,研究計画に従い,線量分布法(対象;Ref.P,BREP)の結果よりソフトウェア(Ver.1)を構築すること,その動作確認と推定精度の検証・提供を順次行い,公に公表していく.
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Causes of Carryover |
初年度に購入したモンテカルロシミュレーションソフトウェアをバージョンアップするために前倒し支払い請求を行い当該年度にソフトウェアをバージョンアップしました.当初予定した当該年度の予算では仕様額は0以下となる.
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