2016 Fiscal Year Research-status Report
精神疾患モデルマウスにおけるアストロサイト成熟異常の分子機序と機能的意義の解明
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16K21457
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
萩原 英雄 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 講師 (80514504)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 統合失調症 / アストロサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫組織学的解析、および遺伝子発現パターン解析により、成体Shn2欠損マウスの海馬においてアストロサイトの成熟異常が示唆されている。このアストロサイトの成熟異常は脳内全体で生じ得る現象なのか、領域選択的に生じ得るのかを検討した。DNAマイクロアレイ解析より得られた、成体Shn2欠損マウスの前頭前野での遺伝子発現変化パターン(成体のShn2欠損マウスを基準にしたときの成体野生型マウスで有意に発現が変化していた遺伝子群)と、野生型マウスの幼若アストロサイトでの遺伝子発現変化パターン(30日齢野生型マウスを基準にしたときの7 日齢野生型マウスで有意に発現が変化していた遺伝子群)をバイオインフォマティクスツールNextBio を用いて比較した。その結果、両者の遺伝子発現パターンは有意には似ていないことがわかった。つまり、これらの結果から、Shn2欠損マウスにおけるアストロサイトの成熟異常は、脳領域選択的に生じ得る現象であることが示唆された。 そこで、海馬に着目して、Shn2欠損マウスと幼若アストロサイトとで共通して変化する遺伝子の発現パターンと逆の効果を持つ薬物・化合物の検索を行った。その結果、ある種の酵素阻害剤や有糸分裂のモジュレーターなど複数の薬物・化合物が候補として挙げられた。これらの薬物・化合物の投与によりShn2欠損マウスにおけるアストロサイトの成熟異常を正常化できる可能性がある。これらの中から脳血液関門を通過するものなどに絞って実際にマウスに投与し、その効果を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動物飼育施設の改修工事などによりマウスの繁殖状況に影響が生じ、各種の解析に必要な匹数を確保することが困難な状況があったため。
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Strategy for Future Research Activity |
動物飼育施設の改修工事も終了したため、マウスの繁殖を規模を拡大して行う。必要匹数が得られ次第、これまでの検討で得られた、アストロサイトの異常を正常化できる可能性のある薬物・化合物を実際にマウスに投与してその効果を検討する。まずアストロサイトの形態や分子発現などを指標に評価し、有効であった薬物・化合物については行動レベルでの評価を行う。
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Causes of Carryover |
動物飼育施設の改修工事の影響などにより、使用予定のマウスの繁殖にやや遅れが生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マウスの交配及び繁殖は継続的に行っており、必要個体数が得られ次第、アストロサイト異常の正常化実験を中心に速やかに各種解析を行う。
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Research Products
(2 results)