2017 Fiscal Year Research-status Report
ハイブリッドペプチドを用いた魚アレルギー免疫療法の開発
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16K21458
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
下條 尚志 藤田保健衛生大学, 医学部, 客員講師 (70410751)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | IgEエピトープ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は魚アレルギー免疫療法の基盤的研究として、魚抗原由来ペプチドを特定し、魚アレルギーマウスに投与することで免疫寛容を成立させる画期的な治療薬創製の可能性を探求するものである。本年度は、抗原蛋白質の調製、ならびにペプチド合成の準備を主眼に置き研究を行った。 MHC提示ペプチドの特定:アレルギーマウス由来の抗原提示細胞を回収し、細胞上MHC提示ペプチドの単離実験を当初立案していたが、期間内での実験系構築が容易ではないため別案を採用した。つまり、魚の主要抗原を大腸菌により作製し、アレルギーマウスの脾細胞を用いた細胞増殖試験により、免疫優性アレルゲンを特定する方法である。 魚抗原の作製:前回、パルブアルブミンをはじめとした魚の主要抗原4種を作製したが、今回は引用文献等を参考にし14種の抗原候補物の遺伝子を受託合成し、大腸菌の発現系を用いて蛋白質を合成した。今後、これらリコンビナント蛋白質を用いた血清中IgEとの結合実験、脾細胞を用いた細胞増殖試験を試みる。 IgEエピトープの特定:新たに導入したペプチド合成機を用いて、18種の抗原アミノ酸情報をすべて網羅したペプチドを作製した。来年度に向けて、アレルギーマウス血清を用いたIgEエピトープを特定予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、MHCクラスIIの提示ペプチドを単離し、質量分析装置により特定する方法で原因抗原を特定する予定であったが、感度特異度の観点を克服するために長期間かかる見込みであるため、当法の採用を見送ることとした。代替案として、脾細胞を用いた免疫優性コンポーネントの特定をまずは採用した。そのため、抗原合成系の準備等で若干の遅れが出ている。アレルギーマウスについては、再現性を確認し安定的なモデルマウス構築に成功している。IgEエピトープについても、抗原候補18種のペプチド合成を終了し、来期のIgEエピトープの特定に向けて準備は整っている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度について、全種の抗原を用いた免疫優性抗原の探索と特定を行う。得られた候補抗原に対しIgEエピトープを決定し、エピトープ内の抗原性の高いアミノ酸を特定する。 当情報を踏まえ、高抗原性のアミノ酸残基をIgEの結合しない残基へ置換させた低アレルゲン化蛋白質の遺伝子設計を行い、順次作製していく予定である。動物実験については、作製した魚アレルギーモデルマウスに魚粗抽出物を投与し症状の誘発度合を確認する。
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Causes of Carryover |
試薬・消耗品が当初の見込みより安価に購入できたため。
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Research Products
(3 results)