2016 Fiscal Year Annual Research Report
重元素部分置換とエネルギー選択散乱効果の併用による熱電材料の高性能化
Project/Area Number |
16K21463
|
Research Institution | Toyota Technological Institute |
Principal Investigator |
山本 晃生 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (70755602)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 熱電材料 / 熱電物性 / 電子構造 / 第一原理バンド計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
未利用熱の有効利用によって省エネ社会へと貢献するために,廃熱を有効な電気エネルギーへ高効率に変換する”実用化に耐えうる環境調和な元素で構成される高性能熱電材料(高い無次元性能指数ZTを示す材料)を開発する”ことを目的としている.当初の研究計画に基づき,「①重元素部分置換とエネルギー選択散乱効果を併用することで,Mn-Si HMS相をZTを1.5まで向上させる」「②電子構造の特徴からの選定により新規高性能熱電材料を開発する」ことを実施した. MnをReで6 at.%部分置換することで,ZT= 1.04 (920K)に達することを既に報告している.ところが,ZT値がまだ十分大きくないことから,更なるZTの向上が望まれる.本材料に対して結晶粒径を微細化することでエネルギー選択散乱効果を導入した結果,ZT~1.5 (920K)に達する特性を得た. 前述した試料の高いZT値を維持したまま材料価格を低減させるために,6 at.% Reで置換したMn-Si HMS相に対して,電子構造に対する考察から選定した安価/無害なTa及びWに一部置き代えると同時に,キャリア濃度を最適化した.その結果,開発したn型及びp型の費用対効果は,6at.% Reを含有するHMS相と比較すると,約2.4倍に達することから,実用材料候補として有望であると判断される. 未利用廃熱量の60%以上は250℃以下の低温廃熱であることから,上記の温度域で高いZTを呈する熱電材料の開発が求められる.第一原理計算から得た電子構造と合成した物性の双方を比較検討した結果,FeVSbが有望な熱電材料であると判断した.ボルツマン方程式に基づく詳細な計算を行った結果,適切な置換元素を用いて重元素部分置換,及び,キャリア濃度の最適化を実施することで,500Kにおいてp型:ZT= 2.7,n型:ZT =0.97を示すことを明らかにした.
|
Research Products
(6 results)