2016 Fiscal Year Research-status Report
ロコモティブシンドロームに関連する社会経済的背景の探索と予防介入プログラムの開発
Project/Area Number |
16K21465
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Research Institution | Tokai Gakuen University |
Principal Investigator |
長幡 友実 東海学園大学, 健康栄養学部, 准教授 (40512512)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 社会経済的背景 / ロコモティブシンドローム / 野菜づくり |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、社会経済的背景(socioeconomic status:以下、SES)を考慮したロコモ予防介入プログラムを開発し、実施・評価を行う予定である。1年目である平成28年度は、JAGES(日本老年学的評価研究、Japan Gerontological Evaluation Study)プロジェクトによる社会疫学的大規模研究の既存コホートデータを用いたロコモティブシンドローム(以下、ロコモ)に関わるSESの探索と、平成28年度に行なわれた2016年調査データを利用し、SESと『家庭での野菜づくり』の関連についてデータ解析を行う計画であった。 まず、2016年調査の実施を行なった。調査票に『家庭での野菜づくり』について問う項目を新規で入れる予定であったが、2013年調査までの既存の調査項目に類似した調査項目があったため、検討した結果、新規項目は追加せず、本研究には既存項目を使用することとなった。現在、データ入力が終了、データクリーニングが完了し、先日、データ使用が可能となったところである。平成29年度中にそのデータを用いて解析を進める予定である。様々なSESを考慮してデータ解析を行いたいと考えている。 なお、JAGESプロジェクトの既存データを用いたロコモに関わるSESの探索については、2016年調査項目の方がSES項目が充実していることから、今後、2016年調査データを用いて解析を行なうこととした。 また、計画にはなかったが、平成29年度に行なう「家庭での野菜づくりに関するアンケート調査」の調査項目を検討するプレアンケート調査を実施した。具体的には、50~60歳代の方20名と30~40代の方10名にアンケート調査を行った。その結果、年代によって家庭での野菜づくりの傾向が異なることが明らかとなった。この結果を平成29年度の研究に活用していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の進捗状況がやや遅れている理由の1つとして、本研究の1年目である平成28年度にJAGESプロジェクトの2016年調査があり、調査項目検討に時間がかかってしまったことが挙げられる。具体的には、計画段階では、『家庭での野菜づくり』について尋ねる新規項目(野菜づくりをしているか、している場合は収穫作物をおすそ分けしているか)を入れる予定であったが、新規項目追加をプロジェクトチームメンバーに提案したところ、次のような返答をいただいた。既存項目に趣味を問う項目があり、選択肢の一つとして家庭菜園がある。また、近隣住民とのつきあいを問う項目もあることから、解析段階で新しい変数を作成し、解析することを検討できないかとのことであった。したがって、JAGESプロジェクトの2013年調査データを用いてプレ解析を行い検討した結果、既存質問項目で解析可能であることが判明した。以上の作業に時間がかかってしまったことが、本研究が遅れてしまった一因である。 もう1つの理由として、計画段階ではJAGESプロジェクトの2016年調査の終了時期が年度末に近いことを把握せずに計画書を書いてしまったことが挙げられる。計画書には平成28年度に2016年調査の実施と解析を行うということにしてしまったが、実際には、調査終了時期が年度末に近く、データ入力およびクリーニングが平成29年度に入ってから終了した。したがって、平成28年度内にデータの解析を行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の2年目である平成29年度は、まず、平成28年度に行なう予定であった2016年調査データの解析を進める。解析結果から得られた「家庭での野菜づくり」に関連するSES項目を整理し、本研究の3年目に実施する『家庭での野菜づくり』を取り入れたロコモ予防介入プログラムの開発に役立てる予定である。 同時に、介入プログラムの条件設定に必要な情報を収集する。季節により栽培に適する野菜が異なることから、市場に出回る野菜の種類と量には季節変動がある。したがって、平成29年度は、平成30年度で行う介入研究の介入時期、介入方法の検討を目的として、季節ごとの消費者側の野菜の摂取状況(野菜づくりを含む)の把握と、提供者側(介入地域のスーパーマーケット、八百屋等)の野菜価格および販売量を調査する。具体的には、まず、季節ごとの野菜づくり状況と野菜入手・摂取の実態調査(自記式質問紙調査)を実施する。愛知県内3市町村において、高齢者が集まる集会等で季節ごと(年4回)に自記式質問紙調査を行う。調査内容は、調査日前後の家庭での野菜づくりの状況や野菜の入手先、野菜の種類ごとの摂取頻度等とする。次に、野菜価格および販売量の実地調査を行なう。調査対象市町村にあるスーパーマーケット・八百屋等にて野菜の販売価格および販売量の実地調査を行う。以上の調査から、平成30年度に行なう介入プログラムの条件(内容や介入時期)設定を行う予定である。
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Causes of Carryover |
前年度の研究がすべて完了せず、次年度に持ち越すことになったため。具体的には、前年度に調査を実施し、得られたデータを解析して結果を出す予定であったが、調査を実施するのみで年度が終了してしまったため、次年度にデータ解析をして結果をまとめ学会発表等においてデータを公表する必要があるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データ解析、結果をまとめるための研究補助のための謝金および学会発表等のための旅費等である。
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