2017 Fiscal Year Research-status Report
ロコモティブシンドロームに関連する社会経済的背景の探索と予防介入プログラムの開発
Project/Area Number |
16K21465
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Research Institution | Tokai Gakuen University |
Principal Investigator |
長幡 友実 東海学園大学, 健康栄養学部, 准教授 (40512512)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 社会経済的背景 / ロコモティブシンドローム / 野菜づくり |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、社会経済的背景(socioeconomic status:以下、SES)を考慮したロコモ予防介入プログラムを開発し、実施・評価を行う。2年目(平成29年度)は、1年目(平成28年度)に行う予定であった、JAGES(日本老年学的評価研究、Japan Gerontological Evaluation Study)プロジェクトによる社会疫学的大規模研究の既存データ(2016年度調査の横断データ)を用いたロコモティブシンドローム(以下、ロコモ)に関わるSESの探索と、SESと『家庭での野菜づくり』の関連についてデータ解析を行った。その結果、農作物の栽培をしている人は、男性である、75歳以上である、配偶者がいる、家族と同居している等の特徴がみられた。一方で、教育年数は短い人のほうが多かった。また、農作物の栽培をしている人は、野菜・果物の摂取頻度が高く、外出頻度も高く、近所付き合いのある人が多かった。以上の結果から、因果関係までは分からないが、農作物の栽培と健康的な行動には関連があることが示唆された。3年目(平成30年度)には、縦断的なデータを利用して因果関係を検討したいと考えている。 また、3年目(平成30年度)に実施する予定である、野菜づくりが健康に及ぼす影響に関する介入研究の予備的検討として、都道府県別野菜栽培量(平成27年産作物統計、農林水産省)と都道府県別野菜摂取量(平成24年国民健康・栄養調査、厚生労働省)の関連を検討した。その結果、野菜の栽培量と摂取量は必ずしも相関しなかったが、これは出荷目的で栽培されているものも多いためである。トマトは栽培量と摂取量は相関しなかったが、家庭菜園しやすいことから、介入研究ではトマトの栽培が健康に及ぼす影響を検討することとした。現在、その介入研究の準備を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目(平成29年度)では、1年目(平成28年度)に行うことができなかったJAGESプロジェクトによる大規模データを用いたデータ解析を進めることができた。今回使用したデータは2016年調査の横断データであったが、データ整備が整い、以前に行われた2010年、2013年調査データとの結合が進んだ。したがって、3年目(平成30年度)には縦断データを用いて解析を進めたい。また、現在、3年目(平成30年度)に予定しているロコモ予防のための介入プログラム開発のために、準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により、農作物の栽培をしている人の特徴を把握することができたが、因果関係までは検討できていない。したがって、3年目(平成30年度)は、JAGESプロジェクトの縦断データを用いて農作物の栽培とSESとの関連を検討したい。また、農作物の栽培が健康にどのような影響を与えるか明らかにするため、介入研究を実施したいと考えている。当初の予定では、高齢者を対象に介入研究を実施することとしていたが、高齢者の個々の生活環境の条件を統制した上で介入研究を実施することは困難であることがわかってきた。したがって、統制観察研究を確立するため、対象者を統制しやすい大学教員や学生に変更し介入研究を実施するため、現在準備を進めているところである。
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Causes of Carryover |
前年度まで研究の進行が遅れ気味であったため、学会発表や論文執筆を行うことができなかった。そのため、旅費やその他の経費の使用額が少なくなっている。最終年度(平成30年度)は研究成果を社会に発信していきたいと考えている。
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