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2016 Fiscal Year Research-status Report

定期会員制度をもつサービスにおける収益性と顧客維持率

Research Project

Project/Area Number 16K21470
Research InstitutionKyoto Sangyo University

Principal Investigator

涌田 龍治  京都産業大学, 経営学部, 准教授 (70433505)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywords収益性 / 顧客維持率 / ディリクレモデル / サービス / マーケティング / 市場浸透度
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、定期会員制度をもつサービスにおける収益性と顧客維持率との関係を明らかにすることにある。定期会員制度を持つサービスにおいて、その収益性は顧客維持率を高めるほど高まるという先行研究がある。しかし一方で、そうしたサービスにおいてさえ、その収益性は市場浸透度の影響を受けているという先行研究もある。一見対立する両先行研究は、少なくともクレジットカードにおいては矛盾がないことも明らかにされている。すなわち、その収益性は市場浸透度の影響を加味したディリクレモデルにより導かれる理論値から顧客維持率が正に逸脱すればするほど高まると説明できる。ところが、このサービスと同様に定期会員制度をもつオーケストラの収益性はこのような逸脱では十分に説明できない。これはなぜかを問うことが本研究の目的である。
三年計画の初年度にあたる本年度は、上記問いの答えが「(オーケストラの顧客維持率は)市場浸透度の影響を強く受けないサービスであったから」というシンプルなものであると仮説を立てて、それを検証した。その結果、「そうではない」という答えが得られた。具体的には、市場浸透度の影響を記述できるディリクレモデルが、フィットネスクラブのような販売員個人と密接に関係を持ちながら提供されるサービスにおいてのみ、一定の限界を持っていることが明らかにされた。また同時にディリクレモデルは、クレジットカード、生命保険、自動車ディーラー、オーケストラ、プロ野球、首都圏の私鉄のようなサービスに適用可能であることが明らかにされた。
以上の知見は、論文2本、学会報告5件にまとめられた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

当初の計画では、クレジットカードとオーケストラおよびそれらに類似するサービスを調査対象として、アンケートを実施し、その相異を検討する予定であった。しかし、学会での討議などにおいて、顧客維持率が市場浸透度の影響を強く受けないようなサービスがあるからではないかという上述の指摘を受け、本年度はこの問いに答えることになった。確かに、もしそうした指摘どおりのサービスをアンケートの対象にしていたならば、そこでの分析結果はきわめて限定的なものになっていただろう。そのため、アンケートの実施が遅れることとなった。
しかし上述したように、本年度中に、この問いに対する一定の答えを示すことができた。具体的には、クレジットカードもオーケストラも、その顧客維持率が市場浸透度の影響を受けていると明らかにされた。同時に、調査対象の候補となるサービスについても明らかになった。
以上から「やや遅れている」と判断した。

Strategy for Future Research Activity

次年度は、当初予定していたアンケートの実施を中心に作業を進める。
第1に、対立する先行研究の矛盾を解消できるクレジットカードのようなサービスがどの程度あるのかを明らかにする。すでに生命保険のデータを入手し、解析を進めている。それらの結果を学会報告し、討議したうえで、より大規模なアンケートを実施する予定である。
第2に、収益性を先行研究の単純な敷衍では説明できないオーケストラのようなサービスが本当に特殊な経営環境にあるかどうかを確認する。とりわけこのようなサービスでは、スポンサーシップと呼ばれる契約を結ぶことによって収益性を高める傾向にあるといわれているが、この契約が各組織の収益性へのインセンティブを削ぐのかどうかを確認する。

Causes of Carryover

当初予定では、クレジットカードとオーケストラおよびそれらに類似するサービスを調査対象市場として、アンケートを実施する予定であった。しかし次の二点の理由から、アンケートが小規模に行われ、差額が生じた。第1は、学会での討議によって、アンケートの調査対象となる市場を明確にする必要に迫られたことである。第2は、研究内容の討議をする中で、一部のデータを無償で入手できたためである。

Expenditure Plan for Carryover Budget

次年度は、当初予定のアンケートを実施する予定である。調査対象とするべき市場が一定程度明らかとなったため、サンプルの抽出とアンケートの質問項目を精査して実施する予定である。
なお、当初予定では、市場の顧客を対象にアンケートを実施する予定であったが、市場を構成する企業を対象にアンケートを実施することで、より広範な知見を得ることを検討中である。

  • Research Products

    (7 results)

All 2017 2016

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results,  Acknowledgement Compliant: 2 results) Presentation (5 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] ディリクレモデルの境界条件 : サービスへの適用可能性と限界2017

    • Author(s)
      涌田龍治
    • Journal Title

      京都マネジメント・レビュー

      Volume: 30 Pages: 1-17

    • Acknowledgement Compliant
  • [Journal Article] ディリクレモデルの外的妥当性:サービスの商品分類を用いたスポーツの事例研究2016

    • Author(s)
      涌田龍治
    • Journal Title

      龍谷大学経営学論集

      Volume: 56(1) Pages: 37-54

    • Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
  • [Presentation] ディリクレモデルの外的妥当性:二つのスポーツマーケティング2016

    • Author(s)
      涌田龍治
    • Organizer
      日本マーケティング学会 2016コンファレンス
    • Place of Presentation
      早稲田大学(東京都・新宿区)
    • Year and Date
      2016-10-16 – 2016-10-16
  • [Presentation] スポーツの購買頻度に関する研究:ディリクレモデルを用いて2016

    • Author(s)
      涌田龍治
    • Organizer
      文化活動のマーケティング研究会
    • Place of Presentation
      南山大学(愛知県・名古屋市・昭和区)
    • Year and Date
      2016-07-29 – 2016-07-29
    • Invited
  • [Presentation] 観戦頻度をプロ野球球団間で比較してよいのか:ディリクレモデルの適用2016

    • Author(s)
      涌田龍治
    • Organizer
      日本スポーツ産業学会 第25回大会
    • Place of Presentation
      順天堂大学(東京都・文京区)
    • Year and Date
      2016-07-17 – 2016-07-17
  • [Presentation] 鑑賞頻度を楽団間で比較してよいか:首都圏在住者への定量分析2016

    • Author(s)
      涌田龍治
    • Organizer
      文化経済学会 2016研究大会
    • Place of Presentation
      大阪樟蔭女子大学(大阪府・東大阪市)
    • Year and Date
      2016-07-02 – 2016-07-02
  • [Presentation] ディリクレモデルの外的妥当性:サービスの商品分類を用いて2016

    • Author(s)
      涌田龍治
    • Organizer
      日本商品学会 第67回全国大会
    • Place of Presentation
      東洋大学(東京都・文京区)
    • Year and Date
      2016-06-25 – 2016-06-25

URL: 

Published: 2018-01-16  

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