2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K21477
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
尹 珍喜 同志社大学, 社会学部, 准教授 (60732253)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脱北者 / 脱北動機 / 適応 / 家族関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本と韓国に居住する脱北者の社会適応に関する比較研究を行うことを目的としている。今年度は、調査データの分析、学会報告、投稿論文作成、第2回目の聞き取り調査を行った。 まず、第1回目の調査で得られたデータを分析し、研究会で分析の妥当性についてのアドバイスを得た(3月・9月エスノメソドロジー・会話分析研究会)。またその内容は、2017年5月に地域社会学会第42回大会(秋田県立大学)にて「脱北動機の語りにおける家族・親族資源の活用と生存戦略」というテーマで研究発表を行い、同年9月に第12回 東西アジア連携研究会(島根県立大学・広島大学連携)にて「女性脱北者における家族関係と困難経験」というテーマで研究発表を行った。最終的に、2018年3月に『教育文化』に「女性脱北者における家族関係と困難経験:韓国在住女性脱北者のインタビュー分析」というタイトルで投稿論文を作成した。 そして第2回目の調査では、第1回目の調査対象者への聞き取り内容の再確認、追加の聞き取り調査など、以前の調査の不足を補い、新しい対象者への聞き取り調査を実施した(3月)。調査対象、質問内容、調査人数などは、昨年度の女性対象者への調査と同一である。 今年度の研究活動から得られた知見は、以下の通りである。第一に、女性脱北者の脱北動機における日常性である。女性脱北者にとって、政治的理由や経済的理由のみならず日常生活で生じる困難も脱北につながる重要なきっかけであった。第二に、彼女たちは直面している困難に対処するために、地域・家族・地域の人的資源を積極的に活用していたことである。第三に、韓国定着後の女性脱北者と北朝鮮の家族との関係性である。韓国に入国した女性脱北者は、北朝鮮に残した家族への罪悪感を抱いており、このことが、韓国にその家族を呼び寄せる努力をするなど、北朝鮮に残っている家族のつながりを生むことになっていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究で予定していた韓国在住の脱北者への聞き取り調査は2回とも順調に実施され、投稿論文の作成まで行うことができた。しかし、日本在住の脱北者への聞き取り調査の実施が日程よりやや遅れている状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、日本で脱北者支援を行っている団体と日程調整を行い、迅速に聞き取り調査を行う予定である。また、第2回目の調査で得たデータの分析、研究会及び学会報告、投稿論文の作成を計画している。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、日本での聞き取り調査を次年度に行うように日程を修正したためである。当該額は、日本での聞き取り調査に使用される予定である。
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Research Products
(2 results)