2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study on Gender Difference about Social Adaptation of North Korean Refugees Living in South Korea and Japan
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16K21477
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
尹 珍喜 同志社大学, 社会学部, 准教授 (60732253)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脱北者 / ジェンダー / 社会適応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、韓国と日本に居住する脱北者の社会適応についてジェンダー比較を行ったものである。今年度は、韓国で実施した男性脱北者へのインタビュー内容を分析し、その結果を家族関係学セミナーで発表した。現在、論文として執筆中にあり、近日中に投稿する予定である。具体的な内容は以下の通りである。 男性脱北者は、韓国で正規の職業を得ることが女性脱北者に比べて困難であるため所得水準が低く、新しい環境への適応及び性別役割の転換によるストレスが高いため憂鬱感が高いという。そこで、男性脱北者が語る北朝鮮での生活、脱北動機及び脱北経路、韓国社会への適応過程を通じて、彼らが経験する困難の特徴及び生存戦略の構造を把握した。 まず、男性脱北者は、北朝鮮で困難な状況を解決するための行動の柔軟性が非常に限定されていることが確認された。つまり、北朝鮮滞在時に生活困難に直面した時、職場に拘束される男性は、商売など別の手段を用いて生計を維持する女性脱北者の経験より厳しい状況に陥る場合が多くみられた。 脱北した後、中国で滞在する際は、男性脱北者は女性脱北者より求められる仕事が限られており、日雇い労働や農業の手伝いなど正規及び低賃金の仕事に従事していた。また、彼らは不法滞在者の身分であるため働いた分の報酬を受け取れないこともあり、身体的及び経済的に身の安全を確保できない状況に置かれていた。 韓国入国後、社会への定着において男性脱北者は、サービス業や介護職など仕事の需要が求められる女性脱北者と比べて、安定的な収入を継続的に得られる職業を得ることに非常に困難を経験していた。さらに、彼らは新しい家族を形成する際にも女性脱北者に比べてその機会や範囲が非常に乏しいため、将来への希望を持てないことに葛藤を抱えていたのである。このような男性脱北者の困難経験から女性脱北者とは異なる方向への支援が必要であることが示唆された。
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Research Products
(1 results)