2017 Fiscal Year Research-status Report
武力紛争の社会的要因に関する研究―シエラレオネ内戦後の首長層と都市若年層―
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16K21483
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
岡野 英之 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 研究員 (10755466)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | シエラレオネ / ぜい弱国家 / 感染症 / エボラ出血熱 / 西アフリカ / 非伝統的安全保障 / 国家 / 首長 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究実績としては、2週間のフィールドワークを8月から9月にかけて行った。また、研究成果の発表として、口頭発表が3本、論文が2本ある。対象国が数年前にエボラ出血熱に見舞われたことから、本研究では、首長の役割を考察する際に、エボラ出血熱流行時にいかにコミュニティを率いたのかを中心に調査を行った。 2週間のフィールドワークでは都市部のコミュニティ・リーダーの役割を明らかにするためにシエラレオネの首都フリータウンで調査を行った。特に郊外の町に焦点を当て、エボラ出血熱を防ぐためにいかなる措置を講じたのかについて聞き取りを実施した。その調査の結果、エボラ出血熱流行時、各コミュニティでは検問が作られ、人々が自発的にエボラ出血熱対策を行ったことが明らかになった。各コミュニティの長である首長層は、政治家(国会議員や地方議会員)と関係を持ち、検問を維持するために必要な物資や金銭を受け取っていたことが明らかになった。すなわち、国家の制度ではなく、人脈を通してエボラ出血熱対策が行われていたことが明らかになった。 研究成果としては、2017年度日本アフリカ学会研究大会では国家の理論的な研究を、2017年度日本文化人類学会研究大会では農村部でエボラ出血熱がいかに対策されたのかを、また、ECAS(European Conference of African Studies)の学術大会(於バーゼル)では、エボラ出血熱流行時に、いかにコミュニティが政府へと動員されたのかを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ねに順調している。フィールドワークは年一回のペースで行われており、首長の役割についての研究は大きく進んでいる。ただし、首長の研究が進展し、調べなければならないことが多いために、バイクタクシーの研究については十分に進んでいない。
また、研究成果も順調に発表できており、地域研究・文化人類学の分野では着実な発表件数であるとみなすことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、シエラレオネでフィールドワークを行う際は、十分に調査できていない北部で調査を行う必要がある。これまでエボラ出血熱対策に焦点を当てて、首長の役割について考察してきた。その調査は、最初にエボラ出血熱が蔓延した東部、そして、首都周辺地域に焦点をあてて考察してきたものの、北部については十分な考察ができていない。そのことを考えると、今後は北部に重点を当てて首長の役割を考察する必要がある。
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Research Products
(6 results)