2020 Fiscal Year Research-status Report
武力紛争の社会的要因に関する研究―シエラレオネ内戦後の首長層と都市若年層―
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16K21483
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
岡野 英之 近畿大学, 総合社会学部, 講師 (10755466)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シエラレオネ / 首長層 / コミュニティ / エボラ出血熱 / ガバナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究成果として著書の執筆に専念した。2019年度は現地調査協力者の都合で調査が実施できなった。さらに2020年度はコロナ禍により現地調査ができなかった。先行きが不透明なために、新たに現地調査を実施することはあきらめ、現在、あるデータで執筆をすることにした。本研究の目的は、武力紛争を経験した社会がいかに紛争構造から脱却するのかを明らかにすることである。特にシエラレオネを事例とし、シエラレオネ内戦の要因とされた首長層、および、都市青年層がいかに内戦後に形を変えていったのかを明らかにするものである。本研究では、このことを研究するために、首長層および青年層がエボラ出血熱時にいかなる役割を果たしたのかを検証することにした。なぜなら、いずれも防疫措置に動員され、コミュニティにおける公衆衛生対策の担い手として重要な役割を果たしたからである。これまで、2016年と2017年にシエラレオネで現地調査を実施し、農村部並びに首都圏で、首長層や青年層がエボラ出血熱流行期にどのような役割を果たしたのかを調査してきた。その後、文献調査によって、現地調査で得たデータを、NGOや国際機関によって出版された報告書と照らしわせることで、シエラレオネの行政が末端レベルも含めて、エボラ対策においていかに機能したのかについて描き出すことに成功している。2020年度中に草稿も出来上がり、出版のプロセスを進めている。現在はコロナ禍もあり、感染症に注目が集まっている。本研究は、シエラレオネの首長層・青年層の研究としてだけではなく、感染症における社会の動きを検証するという意義もある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度中に予定していた新たに現地調査を実施することはあきらめ、現在、あるデータで執筆をすることにした。研究成果は不十分であり、本来到達するべき情報は収集できていないものの、当初の研究目標からすると大きな成果を得ていることには変わりはない。2020年度は研究の集大成である著書の執筆にあてた。2020年度中に概ねの執筆は終えた。また、本研究プロジェクトの一部を編著書『紛争が変える国家』(遠藤貢・末近浩太編、2020年)の一部として出版した。新たなデータを取ることをあきらめ、研究成果を発表するフェーズと位置づけ、精力的に研究成果をまとめているため、順調に成果は出つつある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は本研究の集大成である著書の出版へと動く。2020年度中に執筆はほぼ終えており、出版社も決まっている。現在は出版に向けての最終段階に入っている。2021年度中に研究成果を出版することで、本プロジェクト実施期間内に研究成果を公表したい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のために研究計画に遅れが生じたために予定通りの執行ができなかった。翌年度分は研究成果の発表のために使用を予定している。
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Research Products
(4 results)