2018 Fiscal Year Annual Research Report
Comparison between experimental group decision making and mock deliberation in mixed jury trial.
Project/Area Number |
16K21491
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
若林 宏輔 立命館大学, 総合心理学部, 准教授 (40707783)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 裁判員制度 / 評議 / 市民の意思決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、法曹三者等で行われた模擬裁判員裁判の評議データを収集した。同データは評議人数比は裁判官3名、市民(裁判員)6名と一定でありながら、評議体が議論する事件の内容は異なっていた。これらの評議データを入手し、随時申請者が開発した評議可視化手法による分析を試みた。同時にこれまで評議分析手法として申請者が提案してきた、テキストマイニングと多変量解析による分析手法についても新たな手法を考案した。とくに評議内の発話の時系列変化を表現する手法について検討した。 また同分析結果から得られた知見を活かし、実験的な裁判員裁判を実施した。裁判員役は一般市民に募集を行っが、申請者所属の学内企画と並列的に行ったため、小学生高学年30名と両親30名が参加者となった。また評議体の構成も実際の裁判員裁判とは異なり、市民裁判員5名、裁判官役1名の構成となった。計12組の評議体に対して同じ公判内容を提示して評議を実施した。このとき各評議体(子・親)の半数(6組)には「推定無罪の原則」の説示を裁判官役が行い、評議内でもこの点を中心に議論させた。他方の評議体では同原則について説示は行わなかった。また計画上は申請時の裁判員裁判と同じように3日間の時間をかけて行う予定であったが、近年の裁判員裁判の審理期間の長期化、また実質上に参加者を長期拘束することの難しさから、半日程度の模擬裁判となった。これらの結果を申請者の開発した可視化手法や、その他の質問項目等含めて分析をおこなった。 加えて上記研究のなかで得られた裁判員裁判における市民の意思決定に関する新たな問題意識として、評議内の裁判官による量刑相場等の情報提供が与える影響について検討する必要が生じた。そこで同情報提供のあり方として、AI等を想定した意思決定支援システムと裁判官との比較から、量刑相場提示の影響力を推定する研究も行った。
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Research Products
(5 results)