2016 Fiscal Year Research-status Report
歩行者条件×環境条件下における経路選択行動のモデル化と最適経路の提案手法
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16K21513
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
榊 愛 (石川愛) 摂南大学, 理工学部, 准教授 (60581311)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 経路選択 / 歩行者 / 最適経路提案 / GIS / AHP法 / VR / ヘッドマウントディスプレイ / 重要度 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は研究計画に沿って、次の(1)~(3)を実施した。さらに平成29年度に予定していた(4)を先行して実施した。 (1)歩行経路選択行動に関わる情報を収集するために、①先行研究論文(58本)の調査、②60代以上高齢者と20代学生を対象としたアンケート調査を実施した。 (2)(1)の調査結果をもとに「歩行経路選択行動データベース」を作成した。本データベースは「a.歩行者条件」「b.環境条件」「c.歩行経路特性」で構成した。経路の選択に影響する「a. 歩行者条件」には、人数や目的、荷物の量や体調などがあり、「b. 環境条件」には、季節や時間、天候などがあった。さらに「c. 歩行経路特性」には、幅員や信号の有無、治安や臭い、通行量などがあり、多様な歩行経路選択行動に関わる情報を収集、整理した。しかしアンケート調査の対象年齢を20代と60代以上に限定して実施したため、さらに幅広い年代を対象としたアンケートの実施を次年度の課題にした。 (3)平成30年度実施予定の歩行実験に向けて、VR技術を用いた予備歩行実験を実施した。ヘッドマウントディスプレイを用いたVR歩行実験において、現実空間で歩いているときと同じように歩行距離感覚を得るために必要となる、仮想空間のモデル表現精度を明らかにした。 (4)(2)で作成したデータベースをもとに、歩行経路選択行動のモデル化手法を検討した。その結果、AHP法を使用することで、歩行者が経路を選択するときの各歩行経路特性の重要度(ウエイト)を算出することができ、歩行者の経路選択行動をモデル化できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書に示した本年度の達成目標は、「(1)歩行経路選択行動に関わる情報を収集するためのアンケートを実施(2)歩行経路選択行動データベースを作成(3)平成30年度実施予定の歩行実験の方法を検討」の3つであった。 (1)(2)については、対象年代を20代と60代以上に限定してアンケートを実施し、歩行経路選択行動データベースを作成した。アンケートの対象年齢を広げることで、データベースをさらに充実させることを次年度の課題とした。 (3)VR技術を用いた歩行実験で重要となる歩行距離の認識について、現実空間と同様の距離感を得るために必要な仮想空間のモデル表現精度を明らかにすることができた。引き続き、VR技術を用いた歩行実験の可能性を検討する。 さらに、平成29年度に実施予定であった「(4)歩行経路選択行動のモデル化手法を検討」の一部を先行して実施した。 上記のとおり、次年度計画予定だった内容を先行して実施できたが、幅広い年代を対象としたアンケート調査の実施を次年度に持ち越しているため、「(2)おおむね順調に進展している。」を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の成果をベースとして、最適経路の提案を試みる。具体的手順は次のとおりである。 (1)より幅広い年代の歩行者を対象としてアンケートを実施し、歩行経路選択行動データベースを充実させる。 (2)AHP法を用いた歩行経路選択行動のモデル化手法を確立する。 (3)モデル地区において歩行経路特性値を現地調査する。 (4)ダイクストラ法を用いた最適経路提案プログラムを作成し、歩行者条件×環境条件における最適経路の提案手法を検討する。 (5)平成30年度実施予定の歩行実験の実施方法を検討する。
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Causes of Carryover |
計画時点ではアンケート調査をWEBで実施する予定であったが、初年度は対象年代を限定して実施したことで、対象人数が当初の計画よりも少なくなったため、アンケート形式をWEBから紙に変更した。 この変更によって、WEBアンケート作成・実施にかかる費用と、データ整理のための人件費を今年度は使用せず、アンケート対象年代を広げて実施する次年度に使用するように計画を変更した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度はアンケートの対象人数が増えるため、アンケート実施にかかる費用と、データ整理にかかる人件費として主に使用する予定である。 また研究成果を発表するための、学会参加費と交通費に使用する。
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