2016 Fiscal Year Research-status Report
脳卒中患者のバランス改善を目的としたノイズ付き前庭電気刺激法の開発
Project/Area Number |
16K21516
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Research Institution | Shijonawate Gakuen University |
Principal Investigator |
青木 修 四條畷学園大学, リハビリテーション学部, 准教授 (50637535)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ノイズ前庭電気刺激 / バランス / 脳卒中 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳卒中患者は大脳の前庭系に関連する領域が障害されると立位バランスが低下することが報告されている。この立位バランスの低下は、視覚を用いることで代償されていると考えられている。ノイズ前庭電気刺激を用いた前庭系への介入により、バランス改善に有効なノイズの種類と刺激強度を明らかにすることを目的とした。 健常者若年者15名、健常高齢者14名ならびに脳卒中患者9名を対象とした。パーソナルコンピュータにより作成したノイズ波形を前庭電気刺激に付加して被験者へ適用した。ノイズはノイズ種類、ノイズ強度、刺激強度を変化させた際の立位動揺を重心動揺計により30秒間計測した。ノイズ種類はホワイトノイズおよびピンクノイズとし、ノイズ強度は0dBW、-10dBWとした。刺激強度は事前に測定した各被験者の通電感覚閾値をもとに、健常者では30%、50%、70%、90%、110%とし、脳卒中者ではノイズ強度を0dBW、刺激強度は30%、50%、70%、90%とした。 健常若年者および健常高齢者については、通電感覚閾値の約70%の刺激強度で動揺が減少する傾向が認められた。また、ノイズ種類の違いによる差は認められなかった。ノイズ強度は0dBWの条件において、動揺が減少する傾向が認められた。脳卒中患者でもノイズ種類の違いによる差は認められず、重心動揺が改善するノイズ強度は50%-90%の間であり、明らかな傾向が認められなかった。 閾値下の刺激強度で前庭電気刺激にノイズを加えた際に重心動揺の改善が見られたことから、健常者、脳卒中者ともに確率共振現象による前庭感覚の 今後、脳卒中患者に対するノイズ前庭電気刺激の長期的効果について検討するにあたり、最適なノイズ前庭電気刺激の強度については一律に設定できず、個別に測定した値を用いて実施する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は概ね計画通りに進捗している。計画では脳卒中患者の被験者数を当初19名程度と予定していたが、測定対象の被験者数を十分に確保できなかった。しかし、9名の被験者数でも重心動揺が改善する傾向は認められた。このため、今後の長期的な効果検証のための条件設定は構築可能である。また、今後も実験を継続して被験者数を増やす予定としている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究については、計画通り実施していく。長期的な効果検証であるため、合併症や途中脱落など一定の被験者数を確保することが困難であることが予測される。この対処法として、介入期間の短縮、脱落例を含めた検討などの工夫を行うことを検討している。
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Causes of Carryover |
当該年度の研究では、被験者の確保が計画通りに実施できず、データ計測にかかる人件費や謝金を十分に使用できなかった。また同様に、計測にかかる交通費や成果発表にかかる旅費などを計画通りに使用できなかったため、当初の使用予定額との相違が生じた。 当該年度の研究遂行に必要な物品などについて、当初予定以上の使用額が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の研究計画を遂行するために必要な物品は当初予定よりも高額となる見積もりであり、当該年度に生じた金額を充てる予定である。 また、成果発表などにかかる旅費も発生するため、計画的に使用できると考える。
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