2016 Fiscal Year Research-status Report
個別の学習支援における自己制御メカニズムの解明－解釈レベル理論を用いた検討－
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16K21518
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| Research Institution | Otemae University |
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Principal Investigator |
寺田 未来 大手前大学, 現代社会学部, 講師 (50733789)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | 解釈レベル / 自己制御 / 学習支援 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまず，1)解釈レベルの個人差（BIF）と目標志向との関連，2)解釈レベルと目標志向の一致・不一致が自己制御に与える影響を，さまざまなアプローチ法により検証した。
1)について，質問紙およびWeb調査データの分析を行い，次の点を明らかにした。BIFと目標志向の間には関連性が認められ，加えて，学習観，援助要請，学習方略の利用とBIFの間にも予測通りの関連が確認された。さらに，BIFと学習方略との関連は，その学習方略の利用に対するコストに調整されるという結果も得られた。つまり解釈レベルの高さはコストが高く認知される場合において学習方略の利用に効果的であることが示された。この結果は，解釈レベルがコストと利益の葛藤がある場合においてのみ自己制御に正の影響を与える，またコストがない状況においては，解釈レベルの効果は認められないとするFujita et al.(2006) の知見とも一致する。上記の結果の整合性は，参与観察ならびに支援者へのインタビュー結果からも担保されており，これらの成果は現在論文に投稿中である。さらにWeb上での実験を実施した。目標志向を操作した後，カテゴリー分類課題におけるカテゴリーの数を測定することで，解釈レベルとの関連性を現在検証中である。
2)について，シナリオ実験，ならびにWeb上での実験を2度実施した。eラーニングに関する説得文章に対し，目標志向(学習/解決)×解釈レベル(高/低)を操作したうえで評価を求めた。現在分析中であり，結果がまとまり次第論文に投稿予定である。先と同様，支援者と学生の2者間相互作用への参与観察，支援者へのインタビューをもとに実証中である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に挙げた2点を，参与観察，インタビュー，横断的調査，実験の各手法をもとに「研究実績の概要」にも挙げた通り，検討することができた。
またBIFと先延ばしとの関連について，BIFが高い人は先延ばしの傾向が低いという結果も得られた。そしてこの関連は固定的知能観をもつ個人にのみみられた。この結果は従来のBIFと先延ばしの関連の考え方を拡張させるものであり，国際誌に論文として受理された。
いずれも予備的検討であるものの，量的データの分析結果ならびに，質的データ分析結果を加味できたことで実現可能性を担保した実績といえる。当初の研究計画にはなかったが，解釈レベル理論の考え方を，学生-支援者における学習支援事例を用いたケーススタディを通じ，より実践面に応用できるのはないかと考えている。
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| Strategy for Future Research Activity |
今後は，「研究実績の概要」にも述べた実験結果をまとめ，論文として投稿予定である。加えて引き続いて質的データ収集のためのケーススタディを実施する。従来，学生-支援者の2者間相互作用について参与観察，インタビューを中心にアプローチしてきた。今後は支援者協力のもと，ケース検討会を実施し，解釈レベル理論をはじめとする心理学的諸知見とのリンクを図る。
また当初の研究計画である，個人差（有能感と自律性）が与える影響についても実験的手法を用い検証していく。
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| Causes of Carryover |
旅費については，すべてを学内研究費で支給することができた点，また研究におけるWebでの調査，実験用の予算が想定範囲より安価であった点が挙げられる。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度と同様に，Webを用いた調査，実験を複数回引き続き実施予定である。加えて，実験室実験への参加や，支援とのケーススタディを増幅実施するため，人件費に充てた計画をたてている。
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