2017 Fiscal Year Research-status Report
緊急時対応に求められるチームワークの要素とその向上方略の解明
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16K21529
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
三沢 良 岡山大学, 教育学研究科, 講師 (90570820)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | チームワーク / 緊急時対応 / 事故・災害 / 危機管理 / 教育・訓練 / 人材育成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は事故や災害などの緊急時対応に必要なチームワークの具体的な要素と、その向上に有効な教育・訓練の方略を明らかにすることを目的としている。具体的な研究項目は以下の3つである。1. 専門組織や先進的企業の事例から、緊急時対応に必要なチームワークの要素、および教育・訓練における指導上のノウハウを抽出し、理論的に整理する。2. 緊急時対応におけるチームワークを認知・態度・行動の三つの側面から測定する新たな評価尺度を開発する。3. どのような教育・訓練の方略が、緊急時対応におけるチームワークのどの側面・要素の向上に有効であるのか明らかにする。 平成29年度は、以下の研究を行った。 1.緊急時対応におけるチームワークの評価尺度の試作 前年度の文献調査と情報収集の成果に加えて,欧米の緊急時対応に関する知見,また近年新たな発展を遂げている不測の事態に強い高信頼性組織に関する知見を基に,理論的なチームワーク要素の枠組みに準じた評価尺度項目を試作した。さらに項目を具体化する過程において,最近のチーム研究で活性化しているチーム適応(team adaptation)やチーム学習(team learning)の視点を考慮した尺度作成を行った。成果の一部(特に組織としての学習の側面)は,European Congress of Psychologyや日本心理学会において報告した。 2.緊急時対応とチームワークの教育・訓練に関する実地調査 電力関連のインフラ企業2社に対し,想定外の失敗への備えと教訓活用の取り組みについてインタビュー調査を行った。チームとしての振り返りや能力開発の視点から,有意義な情報が得られたため,それらの知見を整理した上で,学会での報告及び論文発表を準備している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度から継続して行っている文献研究・情報収集,企業への実地調査は進んでおり,緊急時対応におけるチームワークの評価尺度の試作には至ったが,進捗はやや難航している。まず,緊急時対応に関する実践的な訓練のノウハウを整理するための実地調査がさらに必要であり,またチームワークの評価尺度を使用した質問紙調査の実施を迅速に進める必要がある。代表者の機関異動を経て,研究協力組織とのスケジュール調整が難航している。実地調査と質問紙調査に使用予定の印刷費や旅費を次年度に繰り越すことになった。以上のことから、本研究の進捗状況は「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
実地調査対象の企業・組織への協力依頼・調整を継続するとともに,チームワークの評価尺度を用いた質問紙調査の協力依頼を並行して行っていく。当初計画で予定していた現場実験での測定は時間的制約から難しいため,質問紙レベルでのチームワークの評価尺度の信頼性・妥当性の検証と,教育・訓練の指導上のノウハウの整理までを行い,相互関係を明らかにする。
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Causes of Carryover |
前述の通り、平成28年度に計画していた緊急時対応に関する教育・訓練の実地調査の不足,チームワークの評価尺度を用いた質問紙調査の実施が難航したため、旅費・調査費の未使用額が生じた。 繰り越し分の研究費は、前年度に行う予定であった実地調査・質問紙調査を実施するため、必要な旅費・調査費に充当する。
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