2018 Fiscal Year Annual Research Report
Rice-derived protein hydrolysates as a source of dipeptidylpeptidase-IV inhibitory peptides for the management of type 2 diabetes.
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16K21534
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Research Institution | Shujitsu University |
Principal Investigator |
川上 賀代子 就実大学, 薬学部, 助教 (00505935)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 生理活性 / 食品 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病は、血糖値を低下させるインスリンの量または作用不足により血糖値が上がる病態であり、その予防や改善には、インスリンの分泌を適切にコントロールすることが重要である。インスリン分泌にはインクレチンというホルモンが大きく寄与しており、このインクレチンはDipeptidyl Peptidase-Ⅳ(DPP-4)によって速やかに分解されるため、DPP-4を阻害することによりインスリンのコントロールが可能となる。一方で、日本では食生活の欧米化により、1960年代中頃から米の生産量が消費量を上回るようになってきており、米の高付加価値化と有効利用が急務である。 昨年度の研究により、米タンパク加水分解物が最も高いDPP-4阻害活性を示すことが明らかとなった。2型糖尿病は、膵β細胞からのインスリン分泌障害により発症・進展する疾患であり、膵β細胞の機能低下は2型糖尿病の発症に直結すると考えられている。また、膵β細胞は抗酸化酵素の発現量が低く、酸化ストレスは膵β細胞の細胞死を引き起こす重要な原因といわれている。生体内で産生される抗酸化物質であるグルタチオン(GSH)は、酸化ストレスに対する防御に関与している。そこで本年度は、米由来タンパク加水分解物の酸化ストレスに対する膵β細胞保護作用を検討した。ラット膵β細胞由来INS-1E細胞内GSH量は、酒粕や大豆タンパクの加水分解物では上昇が見られなかったが、米タンパク加水分解物により有意に上昇した。過酸化水素による酸化ストレス細胞傷害抑制効果を調べた結果、米タンパク加水分解物により濃度依存的に細胞傷害の抑制がみられた。以上の結果から、細胞内グルタチオンを上昇させることにより、酸化ストレスによる細胞傷害の抑制効果があることが示唆された。逆相カラムを用いて分画を行ない、活性成分として3種類のペプチドを同定することができた。
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