2018 Fiscal Year Annual Research Report
Empirical researches of impacts of mergers on low cost carriers
Project/Area Number |
16K21540
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
朝日 亮太 九州産業大学, 商学部, 准教授 (10712359)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 航空会社 / 合併 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、第一に2010年のユナイテッドとコンチネンタルのケースに焦点をあて分析を行った。そして、ユナイテッドが合併後に多くの路線で競争的行動をとった可能性、競合するフルサービスキャリア(FSC)がユナイテッドとコンチネンタル競合路線において非競争的行動を見せた一方、他の路線において、競争的運賃設定行動をとったこと、低費用航空会社(LCC)が多くの路線で競争的運賃設定を行っていた可能性を示唆した。合併後、市場支配力を強め、非競争的な行動をとるとする既存研究の結果と異なる理由として、他社のM&Aが相次ぎ、ユナイテッドは市場支配力をある程度強めたものの、他社の競争的行動を警戒し非競争的運賃を設定できなかった可能性が考えられる。 第二に、将来的に合併につながる可能性のあるFSCとLCCの提携について予備的実証研究を行った。アメリカン(FSC)とジェットブルー(LCC)の提携を対象とした分析を行ったところ、提携した2社の競合路線において提携企業間の競争的行動が弱まる可能性を示唆した。そして、ジェットブルーが提携後に競争的運賃を設定した路線もあったことから、LCC自身の競争的行動を高める可能性も提示された。その要因として、提携により旅客獲得が容易になり、さらに旅客を増やそうと競争意識が高まった可能性が考えられる。 本研究の意義は2点ある。1点目は、既存研究が示したような結果が近年の合併に当てはまらない可能性を示した点である。航空会社の置かれた状況等、様々な要因を考慮し、分析を行う必要がある。2点目は、LCCとFSCとの提携は、LCCにとってはより大きな競争力獲得のための機会となり、FSCにとってはLCCとの競争を弱める手段となることから、両者が今後、提携をより戦略的に行う可能性について示唆した点である。
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