2017 Fiscal Year Research-status Report
東アジア水域の湿地保全へ向けた面源汚染政策の応用と実装
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16K21545
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
澤田 英司 九州産業大学, 経済学部, 准教授 (70458925)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 面源汚染 / ラムサール条約 / 湿地保全 / 移動性生物保全 |
Outline of Annual Research Achievements |
調査研究については,個別のラムサール条約登録湿地でのインタビュー調査を継続するとともに,EAAFP(東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ)の事務局を訪問し,担当者から地域を結ぶ活動とその課題について聞き取りを行った。研究成果について,2017年11月7日から11日にかけて佐賀県で開催された第8回アジア湿地シンポジウムで``Should we go alone, if we want to go fast? Should we go together, if we go far? A discussion of sustainable cooperative efforts among registered and non-registered wetlands"という論題でポスター発表を行った。 理論研究については,平成28年度から継続して取り組んで来たトーナメント・アプローチによる面源汚染政策設計を進め,経済主体数を拡張した上でもトーナメント・アプローチが機能することを明らかにした。また,予算バランスと共謀への耐性の性質を満たすことについても数値シミュレーションを行うことで確認した。研究成果について,特に,アプローチの効率性についての研究成果を,2017年8月5日から7日にかけてシンガポールで開催された東アジア環境資源経済学会の第7回大会で``A tournament tax mechanism to control Non-point source pollution"という論題で研究発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
個別の重要湿地保全についての調査研究と理論研究は研究計画通りに順調に進展しており,これまでの研究成果をそれぞれ国際会議,国際学会で発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の研究計画では,複数の重要湿地を結ぶ枠組み設計が研究計画の中での新たな研究項目となる。調査研究については,すでに平成29年度において計画を前倒しして,地域を結ぶ取り組みが直面する課題について聞き取りを行って来た。研究計画の時点では,単に地理的に離れた複数地域が共通の枠組みに参加するかどうかを選択する,経済学的特徴だけを考慮した国際的枠組み設計を想定していたが,聞き取りによって,鳥類を代表する異なる地域を移動する種の保全に貢献できる国際的な湿地保全の枠組みを設計するためには,繁殖地・中継地・越冬地として重要湿地を類別し,それぞれの特徴をモデルに反映させることが重要であることがわかった。そこで,まず,研究計画通り,経済学的特徴のみを考慮した上で枠組み設計を行い,さらに,それぞれの地域が枠組みの中で果たす役割の違いを明確にし,役割の異なる複数地域が国際的枠組みに参加するインセンティヴを持つような枠組み設計に取り組む。調査研究では,繁殖地・中継地・越冬地の特徴の違いに関心を払いながら,平成29年度の調査を継続する。理論研究では,繁殖地・中継地・越冬地が数理生態学の中でどのように特徴付けされているかについて文献調査を行い,経済モデルとの統合を試みる。
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Causes of Carryover |
平成29年度の計画額は平成29年度に全て使用しているが,研究調査の訪問順序を調整することで生じた平成28年度からの繰り越し分が一部使用されず,平成30年度まで繰り越すことになった。研究調査の調整はすでに完了しており,平成30年度中に繰り越し分を全て使用する予定である。
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