2016 Fiscal Year Research-status Report
子どもの安全な移動環境と路上活動機会を確保した住区への再設計
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16K21550
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
吉城 秀治 福岡大学, 工学部, 助教 (40734926)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 交通安全 / 遊び / 子育て / 道路 |
Outline of Annual Research Achievements |
子どもにとっては、公園や空き地は勿論のこと、例えばそこに行くまでの道でさえ遊び場になり得る。すなわち、地域での子どもの健全な育成、あるいは住区が生活に密着した場であることを鑑みれば、住区全体を子どもにとっての空間的な広がりをもった遊び場であると捉え、その機会を担保し得る住区を創出することが望ましいものと考えられる。そこで本研究では、子どもに配慮した住環境の創出を目的として、「安全な移動環境」と「路上活動機会」の両視点から検討を進めてきた。 まず、安全な移動環境について検討を進めることとし、子連れ歩行者の交通事故および路上犯罪の両視点からこれらに対する安心、不安意識に影響を及ぼす道路空間特性を明らかにした。その結果、子連れ歩行者は路上犯罪に対してよりも交通事故に対してのほうが不安意識が大きいこと、ベビーカーや手つなぎ歩行といった歩行形態を問わず子供を連れているかどうかが歩行中の不安意識に関わってくることが明らかになっている。また、具体的な道路特性との関係について分析を進めたところ、子連れ歩行者の不安意識を改善し安心意識を高める上では、特に自転車交通への対策や歩道においては2m以上の有効幅員が必要となってくることが明らかになっている。 そして、次に路上活動機会について検討を進めてきた。福岡市内の小学校区を対象に道路上における小学生のアクティビティの発生状況を調査した。その結果、アクティビティによって道路ネットワーク上における発生傾向に差があること、子どものアクティビティの発生には一緒に歩いている児童の人数が最も大きな影響を及ぼすこと、小学校からの距離や広い歩道の有無もそのアクティビティの発生に影響してくることなどが明らかになっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「安全な移動環境」に関する分析ついてはその作業を完了し、公表に向けて成果のとりまとめも既に完了している。「路上活動機会」に関する分析ついては必要な解析を終えており、公表に向けて成果のとりまとめを進めている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは「路上活動機会」に関する分析結果のとりまとめを完了させる予定である。そして今後は、実際に「安全な移動環境」と「路上活動機会」の両視点を考慮した整備プロセスを進めていく上で生じ得る合意形成上の課題をアンケート調査等により明らかにしていく予定である。さらには、本研究課題の最終年度となるため、研究全体成果のとりまとめを予定している。
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Causes of Carryover |
研究を進める中で、路上観測調査手法・調査体制を再検討し、一部地区での調査を取りやめたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度実施予定のアンケート調査を行うための経費として使用する予定である。
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