2017 Fiscal Year Research-status Report
生活習慣・健康診断・レセプト情報の突合分析による将来の医療費の予測システムの開発
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16K21552
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
姜 英 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 助教 (70637595)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | データヘルス計画 / 健康診断 / 生活習慣 / レセプト情報 / 医療費 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は健康診断の問診と結果およびレセプト情報を用いて、①過去の望ましくない生活習慣(喫煙、飲酒、運動、睡眠など)が、その後の健診の有所見の発生状況、それが治療を要する疾病に発展していく過程を明らかにし、②望ましい生活習慣を送った者の医療費と比較してどの程度高くなっているのかを分析し、③現在望ましくない生活習慣を送っている者に対して、生活習慣を是正することで5年後に得られる健康上のメリットと医療費の削減効果を評価することを目的としている。 研究2年目の平成29年度は、解析手法を確定するため、約1万人の5年間の健診結果とレセプトデータを用いて、喫煙関連疾患に関する解析を行った。特定健診の対象である40歳以上(約7,000名)の者について、喫煙のために動機付け支援ではなく積極的支援の特定保健指導の該当者となった者の特定保健指導に係る直接費用は、毎年約200~300万円余分に必要であった。5年間で喫煙率が7.3%減少したのに伴い、喫煙のために積極的支援の該当者となった者の割合も有意に12.9%減少した。5年間連続して非喫煙であった者と比べ、5年間継続して喫煙していた者の糖尿病、がん全般、循環器系疾患、歯科にかかった平均医療費は有意に高かった。継続喫煙者の循環器系疾患にかかった平均医療費は変化しなかったのに対して、途中で禁煙した者の平均医療費は有意に減少した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
企業の約3万人の20年間の健康診断のデータと10年間の約400万件のレセプトデータが膨大なため、データの確認と突合分析などに時間が必要であった。膨大なデータを用いて解析手法の検討が困難であるため、まず、小規模データ(約1万人)の5年間のデータを用いて検討を行った。そのため、分析に時間を要しており、やや遅れているとの評価に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
約1万人のデータを用いて解析手法を確定し、各疾病の医療費に影響する生活習慣や健康診断の結果を特定し、影響される因子(健康状況や生活習慣)が改善することによる削減される医療費を推算するモデルを作成する。最終的に3万人の20年間のデータを作成したモデルに応用し、精度を評価する。
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Causes of Carryover |
データ確認の人件費・謝金の経費が発生しなかったため、次年度に使用する計画である。
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