2016 Fiscal Year Research-status Report
CT装置の高精度線量評価に必要な実効エネルギー計測法の研究
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16K21553
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Research Institution | Junshin Gakuen University |
Principal Investigator |
五反田 龍宏 純真学園大学, 放射線技術科学科, 准教授 (60711447)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 実効エネルギー / X線CT / 線量計測用フィルム / GAFCHROMIC Film / スキャナ特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国は世界と比べてX線コンピューテッドトモグラフィ(CT)装置の普及率が高く,医療被ばくが高い傾向にある.医療被ばくを正確に評価するためには,X線束の線質を定期的に測定することによってCT装置のQA,QCを行うことが重要である.本研究では,いかなる施設においてもCT装置の線質評価を簡易的かつ安価に評価する方法を開発することを目的としている. 本年度は,線量計測用フィルムの特性評価と選別,およびスキャナに起因する誤差の改善方法を検討した.まず,特性評価としてエネルギー依存性に関する研究をおこない,GAFCHROMIC EBT3(EBT3)が実効エネルギー30-60 keVの範囲で1%以下であることが明らかとなった.加えて,EBT3の散乱線の影響に関する研究をおこない,散乱体より50 mm離すことで影響がほぼなくなることが明らかとなった.以上の結果から,CT装置の構造において,実効エネルギー計測に最適な線量計測フィルムはEBT3であることが実証された. 次に,EBT3のデータ収集時に適したスキャナを選別するために,A3型スキャナ,A4型スキャナ,モバイルスキャナの比較をおこなった.結果として,モバイルスキャナの利便性はあるがA3型スキャナが最も高精度に測定できることが実験結果より明らかとなった.加えて,EBT3のデータ収集時に多く含まれるスキャナに起因する誤差を最小限にするために,もともと透過型設定でスキャンすることが推奨されているEBT3を反射型設定でスキャンする方法を検討した.さらに,スキャナの経時的変化による影響を観察し,最適なスキャン時間やスキャン回数などを明らかにした.結果として,スキャナの不均一性誤差の影響などが改善された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は,線量計測用フィルムの実効エネルギー依存性の評価をおこない,数種類の線量計測用フィルムから実効エネルギー計測に最適なGAFCHROMIC EBT3(EBT3)を選別することができた.加えて,X線コンピューテッドトモグラフィ(CT)装置の構造上,散乱体からの距離が近く,電離箱などでは散乱線を十分に除去できないことが考えられた.EBT3を使用した場合の散乱線の影響について評価し,散乱体から50 mmで影響がなくなることが実証できたため,CT装置の狭い構造においても,散乱線を含まない実効エネルギーの評価が可能であることが実証できた.このEBT3の散乱線の影響については,フィンランドで行われるEMBEC'17 & NBC'17 conferenceにて発表する予定である. 次に,EBT3のデータ収集時に適したスキャナを選別するために,A3型スキャナ,A4型スキャナ,モバイルスキャナの比較をおこない,中でもA3型スキャナが最も高精度に測定できることを証明した.この内容の一部は,論文にて発表した. 加えて,EBT3のデータ収集時に多く含まれるスキャナに起因する誤差を最小限にするために,EBT3を反射型設定でスキャンする方法を検討することに加え,スキャン時の経時的変化についても検討をおこなった.結果として,最も精度よく計測できるスキャン方法,タイミング,回数などが明らかとなり,スキャナの光学的影響などが改善された.この内容の一部は,ギリシャで行われた1st European Congress of Medical Physicsにおいて発表した. 最後に,EBT3を使用した320列のCT装置の中心部での実効エネルギーの測定をおこなった.この内容は,European Congress of Radiology 2017において発表した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,これまでに得られたGAFCHROMIC EBT3(EBT3)の最適なスキャン方法や解析方法を実行し,高精度な線量計測をおこなう予定である.これらを踏まえて,320列のX線コンピューテッドトモグラフィ(CT)装置の実効エネルギーを計測することを目的とする.まず,X線束の中心部での実効エネルギーを再度計測し,本研究での計測法の再現性について検討する.次に,X線束の中心部での実効エネルギーをベースとし,最終的には,X線束全域での実効エネルギーを二次元的に評価する予定である.
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Causes of Carryover |
当初計画していた国際学会(European Congress of Radiology 2017:オーストリア)の会場に,本務校業務のため行くことができず,電子ポスターのみの参加となった.そのため,日本からオーストリアまでの旅費が支出されなかったためであると考えられる.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際学会ならびに国内学会に参加,発表するための旅費として使用する予定である.
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Research Products
(4 results)