2018 Fiscal Year Research-status Report
左半側空間無視に対する聴覚を用いた訓練(音源探索課題)の開発と効果検証
Project/Area Number |
16K21554
|
Research Institution | Nishikyushu University |
Principal Investigator |
松尾 崇史 西九州大学, リハビリテーション学部, 助教 (50757747)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 半側空間無視 / 音源定位 / 空間性注意 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,半側空間無視(Unlateral Spatial Neglect,以下:USN)に対する聴覚を用いた音源位置を探索する音源定位課題の効果を明らかにすることである(研究1).また,音源定位課題実施時の脳血流動態の変化について,脳機能イメージング分析を用いて明らかにする(研究2). 平成30年度の活動に関して,研究1で実施している多施設ランダム化比較試験では,当初予定していた被験者数よりも少なかったため,被験者のリクルート期間を延長しデータ固定まで実施した.次年度はデータ解析と成果報告を行う.USN患者に対する視覚以外の感覚モダリティを使用した介入方法の確立はUSNのリハビリテーションの発展に貢献できるものと考える. 研究2については,光トポグラフィ装置(ETC-4000:HITACHI)を用い音源定位課題(前方空間のみ)遂行時の脳血流量の変化について,データ収集および一部データの分析まで終了した.音源定位中の脳血流動態として,脳皮質関心領域である右頭頂葉~側頭葉では,開閉眼ともに安静時よりも高い値を示す傾向があった.しかし,開閉眼の課題間には大きな差は生じていない.つまり,前方空間において,聴覚刺激のみを用いた場合でも,空間認知に関わる頭頂葉領域の脳活動は,視覚を併用した場合と比べ差が生じなかった.この結果から,音源定位を用いる介入方法がUSN患者の脳活動に何らかの影響を与え,空間認知能力に変化をあたえる可能性が示唆された.今後は,音源定位課題のパフォーマンスの精度と脳活動について比較を行う予定である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究1の進捗状況について,当初予定していた期間内で,目標とする被験者数には至らずリクルート期間を延長している.そのため,研究期間を延長した.研究2の進捗状況について,データ収集を行う施設が所属機関ではなく,リクルートした被験者との実施日や実施時間の調整に時間を要してしまった.また,音源定位課題のパフォーマンス(定位のズレの測定)については,安価な定位課題を作成したこともあり,動画で撮影した実際の映像をもとに一つずつ数値を算出している.そのためデータ抽出に非常に時間を要してしまった.したがって,当初の予定と比較すると遅れていると判断している.
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度は,研究のまとめの期間とし,それぞれの研究データの分析と国内外の学術誌への投稿など成果報告を行い,半側空間無視患者に対する聴覚刺激を用いた介入の有用性について提言する.
|
Causes of Carryover |
研究の遅れに伴い,平成30年度で使用する予定であった成果報告に関連する費用が残った.次年度使用額の残金については,研究協力者との打ち合わせおよび成果報告に伴う費用に支出する.
|