2016 Fiscal Year Research-status Report
幼児期・児童期前期における自己評価変動モデルの構築
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16K21562
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Research Institution | Osaka International College |
Principal Investigator |
渡辺 大介 大阪国際大学短期大学部, その他部局等, 講師 (70612985)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 幼児 / 保育者 / 自己評価 / 能力認知 / 感情 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,幼児期や児童期前期の自己評価変動過程を規定する要因を明らかにし,幼児期や児童期前期特有の能力認知に伴う一連の自己評価変動過程に関するモデルを構築することを目的としている。 平成28年度は,自己評価の変動の指標として種々の感情の質(嫉妬や誇りなど)に焦点を当て,幼児が自己と他者の能力を認知する際にどのような心理過程が働いているのかを明らかにすることを目的とした研究を行った。その際,能力認知で生じる感情の質を幼児に尋ねる前に,幼児がその感情語を理解しているかを明らかにしておく必要があった。そこで,7種類の基本情動(嬉しい,悲しいなど)と8種類の自己意識的情動(恥ずかしい,誇らしいなど)を表す感情語に関する幼児の理解の実態を把握するために,各感情語を幼児がどの程度理解しているかを保育士・幼稚園教諭に尋ねた。併せて,園生活において,幼児が種々の感情を生起させる場面や,自己と友人の能力を認知(比較)する場面についても調査した。 5歳児クラスおよび4歳児クラス担当の保育者に質問紙調査を実施した結果,いずれの感情語に関しても5歳児と4歳児の理解力に差は認められなかった。また保育者は,ほとんどの感情語について,5歳児と4歳児ともにある程度理解していると評価したが,自己意識的情動の「誇らしい」と「後ろめたい」については,あまり理解していないという認識であった。幼児が各種感情を生起させる場面や友人との能力比較を行う場面に関しても,具体的な園生活における活動場面が数多く報告された。 今回の調査で得られた結果は,以降の幼児に対する調査で用いられる感情語の選定や能力比較場面の設定に活用する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究協力園との調整がうまくいかず,平成28年度に計画していた幼児を対象とした調査を実施することが出来なかったため,平成29年度に実施する予定であった保育者を対象とする調査を前倒しで実施した。当初の計画から変更を余儀なくされたが,今回の調査で得られた結果は,平成28年度に実施する予定であった調査にも活用でき,調査内容の改善に役立てることができた。そのため,多少の遅れは生じたものの,計画は着実に進行しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
計画には多少の遅れが生じているものの,研究目的を達成するために必要な調査内容の改善や文献の収集はできている。また,研究協力園から次年度の研究協力に関する合意も得ている。今後は,研究協力園との連絡・調整を密に行い,幼児を対象とした未実施の調査を行う予定である。その際,研究協力者を募ったりアルバイトを雇用したりするなどして,効率的に調査の実施やデータの整理を進めていくことを考えている。
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Causes of Carryover |
(理由)研究協力園との調整がうまくいかず,当該年度に計画していた調査を実施することが出来なかったため,調査実施に伴う人件費・謝金が発生しなかったことが理由として挙げられる。 (使用計画)学会参加のための旅費,研究図書の購入,研究協力者やアルバイトの人件費・謝金の支払い,などへの使用を計画している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学会参加のための旅費,研究図書の購入,研究協力者やアルバイトの人件費・謝金の支払い,などへの使用を計画している。
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