2017 Fiscal Year Research-status Report
幼児期・児童期前期における自己評価変動モデルの構築
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16K21562
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Research Institution | Osaka International College |
Principal Investigator |
渡辺 大介 大阪国際大学短期大学部, その他部局等, 講師 (70612985)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 幼児 / 能力認知 / 自己評価維持モデル / 文化比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,幼児期や児童期前期の自己評価変動過程を規定する要因を明らかにし,幼児期や児童期前期特有の能力認知に伴う一連の自己評価変動過程に関するモデルを構築することを目的としている。 平成29年度は2種類の調査を行った。第1の調査は,自己評価変動過程を規定する要因として「活動に対する友人関与度」に焦点を当て,幼児が自己と友人の能力を認知する際に,活動に対する関与度(自己が好きな活動と嫌いな活動,友人が好きな活動と嫌いな活動)がどのような影響を及ぼすのかを明らかにすることを目的としたものであった。 その結果,自己の好きな活動では自己能力を友人能力よりも高く認知し,自己の嫌いな活動では低く認知した。この結果は先行研究と同様であり,自己評価維持モデルで想定される比較過程と反映過程が幼児にも生起し,能力認知によって自己評価の高揚が生じることを示唆するものであった。一方,友人の好きな活動では友人能力を自己能力よりも高く認知したが,これは,親密な関係を維持するために友人を好意的に捉えようとする特徴の現れと推測される。他方,友人の嫌いな活動で友人能力を自己よりも低く認知した点については,友人関与度の低さから,関係性維持に重要ではないと考え,シビアに回答したとも考えられるが定かではない。そこで生じる自己評価の変動過程や能力認知の理由とともに,次年度以降の課題としたい。 第2の調査は,カナダ在住の幼児の自己能力と友人能力認知の特徴を明らかにすることを目的としたものであった。この調査は,次年度以降に自己能力・他者能力の認知と自己評価の関連の比較文化的検討を行うための事前調査(カナダ在住の幼児も自己と他者の能力認知を行うか否かの確認)として実施された。その結果,カナダ在住の幼児は,1.日本人幼児と類似した能力認知を行うこと,2.日本人幼児よりも早い年齢段階から能力認知が可能であること,が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度に生じた計画の遅れが影響し,研究計画案よりやや遅れて進行している。しかしながら,平成30年に実施予定であった調査(カナダ在住幼児を対象とした事前調査)を前倒しで実施することができたため,計画は着実に進行しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
計画には多少の遅れが生じているものの,研究目的を達成するために必要な調査や文献の収集はできている。今後も,研究協力園との連絡・調整を密に行い,幼児を対象とした未実施の調査を精力的に実施していく予定である。その際,研究協力者を募ったりアルバイトを雇用したりするなどして,効率的に調査の実施やデータの整理を進めていくことを考えている。
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Causes of Carryover |
(理由)平成28年度からの繰り越しの残金が主な理由である。また,カナダ渡航の旅費が予定よりも安く済んだことも理由として挙げられる。 (使用計画)学会参加のための旅費,研究図書の購入,研究協力者やアルバイトの人件費・謝金の支払い,などへの使用を計画している。
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Research Products
(1 results)