2016 Fiscal Year Research-status Report
一人暮らし高齢者の介護予防に向けた食生活の実態把握
Project/Area Number |
16K21564
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Research Institution | Mukogawa Women's University Junior College Division |
Principal Investigator |
大滝 直人 武庫川女子大学短期大学部, 食生活学科, 准教授 (70551133)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 一人暮らし高齢者 / 食生活 / 介護予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
今後の20年間のうちに、一人暮らし高齢者は約750万人を超えることが推計されており、新たに一人暮らしを開始する時期に、円滑な自立支援を行うことが非常に重要である。そこで、本応募研究では、地域新たに一人暮らしを開始する高齢者を対象に健康状態や食生活・食事・栄養に関する実態調査を行い、その後の日常生活を円滑にスタートすることができる方策について検討を行った。昨年度においては、対象地域の一人暮らし高齢者111名を対象に食習慣について検討を行った。このうち、食事調査への協力を得られた37名の食事状況について検討を行い、エネルギーおよび栄養素等摂取状況と料理区分別の出現料理ついて検討を行った。男性においては、概ね適正なエネルギー比率であったが、カルシウム、ビタミンCおよび食物繊維において推定平均必要量や目標量を下回って摂取している者が約半数であった。女性においては、脂質エネルギー比率が基準範囲を逸脱している者は、全体の51.6%であった。一方で、カルシウムおよびビタミンCにおいては、概ね適正な摂取状況であった。食物繊維においては、男性と同様に約半数の者が目標を下回って摂取していた。また、食事調査から得られた結果を、食事バランスガイドに準拠した料理区分別に分類し、集計を行った。なお、出現料理数は延べ226種類、出現料理数は延べ911品であった。副菜における出現料理の上位3品目(サラダ、漬物、和え物)で副菜料理の全体の33.3%を占めた。また、主菜においては、出現料理の上位6品目(納豆、焼き魚、煮物、豆腐、煮魚)で主菜料理の全体の35.9%を占めた。以上のことから、一人暮らし高齢者においては、エネルギーや栄養素摂取量においては、充分な食事を行っているのに関わらず、料理メニューが固定化されやすい等の課題が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度においては、地域一人暮らし高齢者を対象として食事・栄養調査を実施して、一人暮らし高齢者の食生活上の課題を明らかにすることができた。しかしながら、調査対象地域において、新たに一人暮らしを開始する高齢者は、約80名に上った。これらの地域高齢者に対して、地域の民生委員を通じて研究参加への協力を依頼したが、実参加者数は10名となった。研究応募時おいては、40から50名の研究参加者を見込んでいたが、約15%となったため、研究の進捗状況はやや遅れている。 今年度においては、地域社会組織と綿密な連携をとり、調査依頼地域の拡大を含めて慎重に研究を実施していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究結果から、一人暮らし高齢者の食生活上の問題点を把握することができた。今年度以降については、これらの結果を比較および対照として、一人暮らし開始直後の高齢者の食生活上の課題を明らかにする。また、関連する学会への発表を予定している。
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Causes of Carryover |
調査対象地域において、新たに一人暮らしを開始する高齢者は、約80名に上った。地域一人暮らし高齢者に対して、民生委員を通じて研究参加への協力を依頼したが、実参加者数は10名となった。既存の備品等を活用することで調査研究を実施することが可能となったため、当初予定していたよりも支出額の減少が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度の繰り越し金は、調査実施に必要な消耗品費等に充当する。また次年度については引き続き消耗品等の費用、学会発表に必要な参加費、旅費、宿泊費に支出する予定である。
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