2017 Fiscal Year Research-status Report
一人暮らし高齢者の介護予防に向けた食生活の実態把握
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16K21564
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Research Institution | Mukogawa Women's University Junior College Division |
Principal Investigator |
大滝 直人 武庫川女子大学短期大学部, 食生活学科, 准教授 (70551133)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 一人暮らし高齢者 / 食生活 / 食環境 / 介護予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度では、地域一人暮らし高齢者の置かれている食環境について検討を行った。過年度までに調査協力の得られた地域一人暮らし高齢者123名を対象に、食品購入店までの時間および移動手段、また買い物頻度について調査を行った。また、身体計測を行い、日常生活活動テスト(ADLスコア)および体重変化の状況については質問紙法による調査を行った。 解析対象者の平均年齢は79.1±5.5歳、買い物頻度は週5回以上の者が43名、週5回未満が80名であった。ADLスコアの平均は、26.3±4.7であった。単変量回帰分析の結果、買い物頻度とADLスコアは有意に関連していた(β=-2.348, 95%CI: -4.074 ~ -0.622, p=0.008)。さらに年齢及び性別の調整後による重回帰分析においても買い物頻度とADLスコアは有意に関連していた(β=-2.301, 95%CI: -4.048 ~ -0.555, p=0.010)。買い物の移動手段が徒歩である者は73名、徒歩以外の者は50名であった。過去3か月以内に3kg以上の体重変化があった者は25名、なかった者は98名であった。買い物移動手段と体重変化の有無には有意な関連がみられた(粗オッズ比:2.70, 95%CI: 1.10 ~6.64, p=0.031)。さらに、年齢及び性別の調整後のオッズ比においても有意な関連が認められた(調整オッズ比:2.68, 95%CI: 1.04 ~ 6.96, p=0.042)。本調査の結果から、地域一人暮らし高齢者の買い物頻度と日常生活活動、また、買い物移動手段と体重変化の有無との間に有意な関連がみられた。このことから、地域一人暮らし高齢者を取り巻く食環境が地域一人暮らし高齢者の身体状況に影響を与えていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2017年度においては、地域一人暮らし高齢者の取り巻く食環境について調査を行い身体状況について明らかにすることができた。 しかしながら、調査対象地域において、新たに一人暮らしを開始する高齢者は、約120名に上った。これらの地域高齢者に対して、地域の民生委員を通じて研究参加への協力を依頼したが、実参加者数は14名となった。研究応募時おいては、40から50名の研究参加者を見込んでいたが、約20%となったため、研究の進捗状況はやや遅れている。 今年度においては、調査の協力をする地域社会組織において組織改編と綿密な連携をとり、調査依頼地域の拡大を含めて慎重に研究を実施していく予定である。「当初計画通りに進まない場合の対応」に記載のとおり、過年度までの調査結果を用いて地域一人暮らし高齢者の食生活状況に関する研究を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度においては、地域一人暮らし高齢者の取り巻く食環境について調査を行い身体状況について明らかにすることができた。昨年度においては、食事・栄養調査の結果から食生活上の課題を明らかにしたが、これらの課題を克服するためには、地域一人暮らし高齢者の食環境面も考慮して栄養や食生活に関する情報提供を行っていく必要がある。次年度以降については、これらの食環境上の状況を考慮した食事・栄養素摂取状況について明らかにしていくことが必要である。また、関連する学会への発表を予定している。
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Causes of Carryover |
昨年度の費用は概ね計画通り使用することができた。 次年度については引き続き調査実施に必要な消耗品等の費用、学会発表に必要な参加費、旅費、宿泊費に支出する予定である。
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