2017 Fiscal Year Research-status Report
アルミニウムスクラップ高清浄度化のための新規スラグフローテーション法の開発
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16K21566
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Research Institution | Hachinohe National College of Technology |
Principal Investigator |
新井 宏忠 八戸工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (70770965)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 凝集係数 / 多分散 / 粒径比 / 異種凝集 / 水モデル実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
計画通り、申請者が構築したヘテロ凝集理論を拡張し、粒子が浮上速度をもつ場合に対応できるように改良を施した。また、この理論の検証実験として、水モデル系における乱流凝集実験を実施した。 ヘテロ凝集系(固体粒子-液滴)においては、実験上の困難さがあり、同質異径粒子を用いた擬似的な異種凝集実験を行った。その結果、スラグフローテーション法の狙いの通り、除去対象不純物粒子よりも大きな粒子(スラグ滴模擬)を混在させることで、それらと凝集・合体することが確認され、これが浮上分離することで溶湯の清浄化が期待される。また、異種凝集理論を用いてケーススタディ(数値シミュレーション)を行った結果、除去対象粒子とスラグ滴模擬粒子の大きさの比によって、衝突頻度(凝集頻度)が極大となる条件が存在することがわかった。これは異種凝集理論の拡張により、凝集粒子間の大きさの比に応じて凝集効率が変化するように改良された結果、このような挙動が明らかなった。したがって、実プロセス検討においては、スラグ滴のどのようなサイズに制御すべきか指針を提示できると考えられる。 次いで、液滴粒子(スラグ模擬)の凝集挙動を把握するため、多分散粒子を用いた理論検証も行った。実操業において、液滴は粒径分布をもった多分散粒子として存在することが一般的であるが、既往の研究では粒径の揃った単分散粒子を用いてきた。これは多分散粒子の凝集速度を計算することができなかったためであるが、本研究の成果である異種凝集理論の拡張によって、凝集係数は衝突する凝集体の大きさ、粒径比によって変化させることができるようになったため、このようなケースでも計算可能となった。その結果、多分散粒子の凝集速度を従来の計算予測精度を10倍程度向上できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時当初の計画では、固体粒子と液滴粒子を用いた水モデル実験を実施する予定であったが、そのためには事前に液滴粒子単独での凝集挙動を調査する必要があった。しかしながら、液滴が実験装置の壁面や自由表面上に付着・分離してしまい、凝集挙動を確認できていない。よって現在は申請書記載の通り、当初計画通りに進まない場合のバックアップ案を実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
液滴の凝集挙動を確認するため、今後、この対策として攪拌槽や攪拌羽根を親水性にコーティングし、かつ密閉系で実験を行うことで壁面付着等を抑制することを試みる。ただし、同時にバックアップとして、粒子径の異なる粒子を用いた擬似的な異種凝集実験を継続実施し、代替実験による検証も並行して進め、成果創出を滞りなく進められる研究体制とする。 また、30年度は実プロセスにおける数値シミュレーションと連成させ、スラグフローテーション法の効果検証実施予定であったが、29年度の成果として除去対象粒子とスラグ滴模擬粒子の大きさの比によって衝突頻度が大きい、適切な範囲が存在するという新たな知見が得られた。よって、実操業条件(物性値や攪拌条件など)において、この点を詳細に調査することに研究計画を変更する。実プロセスへの展開を見据えた場合、この知見は明確な操業指針となるため、重要度は非常に高いと考えられる。
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Research Products
(1 results)