2016 Fiscal Year Research-status Report
アモルファス合金ナノ構造体のイオン液体への分散化と表面制御
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16K21573
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Research Institution | Nagano National College of Technology |
Principal Investigator |
柳沼 晋 長野工業高等専門学校, 一般科, 准教授 (80516518)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アモルファス合金 / イオン液体 / 物理蒸着 / ナノ構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アモルファス合金の非晶質由来の特性をベースに、イオン液体への物理蒸着を利用することにより、ナノスケール構造体を合成・分散する技術を開発し、それらの表面酸化や結晶化を制御することを目的とする。本年度は、新たな実験の立ち上げ段階にあり、研究計画に沿って超高真空槽・真空排気システムを整備しているが、当初のもう一つの研究項目である「真空蒸着によるナノ粒子およびワイヤーの合成・分散化」を推進するまでには時間を要する。一方、先の科研費研究課題「アモルファス合金ナノワイヤーを用いた3次元触媒開発」において、コンパクトスパッタ装置を導入済みである。そこで、平成29年度の研究項目「スパッタリングによるナノ粒子およびワイヤーの合成・分散化」を優先し、前倒しして実施するように研究計画を変更した。 現在、超高真空装置の立ち上げと並行して、金属スパッタ蒸着に取り組んでいる。コンパクトスパッタ装置は、高圧ガスの配管などセットアップを完了している。また、アモルファス合金の構成元素にはZrやNiなどの卑金属が含まれることから、酸化を抑制するため、ターボ分子ポンプ排気システムを購入し、高真空を得られるように改善した。スパッタターゲットは、ガラス形成能が高いPd-Cu-Ni-P合金に着手する前に、先行研究で報告されている単一のPd金属について予備実験を行い、イオン液体(BMI-BF4など)中へのナノ粒子の生成を再現しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Pd系のアモルファス合金ターゲットを入手できたものの、最初の1枚だけで、それ以降の研究開発は終了することをメーカー側から告げられた。これにより、アモルファス合金ターゲットの新たな入手先を確保したり、当初の想定とは異なるスパッタターゲットを開発・作製したりする必要が生じ、研究計画の軌道修正を余儀なくされたため。
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Strategy for Future Research Activity |
スパッタターゲットに関する打開策を検討した結果、スパッタ装置を用いた低蒸気圧液体への物理蒸着という原理はそのままに、次のような糸口がつかめた。 ① 構成元素の多段階スパッタ+アニール ② 多元同時スパッタ可能なターゲットの開発・作製 ③ 合金粉末ターゲットの開発・作製 今後、①~③を新たな指針として、イオン液体およびポリエチレングリコールへの金属スパッタ蒸着を行い、それらの有効性を比較・検証した上で、各種実験パラメータの最適化を進めていく計画である。
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Causes of Carryover |
研究計画の変更に伴い、ターボ分子ポンプ排気システム一式(納入予定時期:平成29年10月)を本年度に購入したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
スパッタ源ユニット一式(納入予定時期:平成29年3月)の購入費用(100万円程度)に充てる予定である。
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